ピーター・ビーツ&ジャズ・オーケストラ・オブ・ザ・コンセルトヘボウ/
ブルース・フォー・ザ・デイトtext by Kimio OIKAWA

JOC Records/55 Records FNCJ - 5539 ¥2, 500

1.イッツ・ハプニング
2.フォー・サイモン
3.ファースト・ソング
4.デガージ
5.イズ・イット・ロング・トゥ・ビー・ライト?
6.トリスティティ
7.ブルース・フォー・ザ・デイト

Conductor:ヘンク・ムトヘールト
Reeds:ヨリス・ルーロス(as, ss, cl, fl)ヨルク・カーイ(as, fl)サイモン・ライター(ts)シュールト・ダイクハウゼン(ts, cl) ホアン・マルティネス(bs, bcl)
Trumpet/Flugelhorn : イェレ・スハウテン ウィム・ボット リニ・スウィンケルス、ルート・ブルルス ヤン・ヴァン・ダウケレン
Trombone : マタイン・ソヒア ハンスヨルグ・フィンク バート・ブーレン マティーン・デ・カム(b-tb)
Rhythm : ピーター・ビーツ(p)マタイン・ヴァン・イターソン(g)フランス・ヴァン・ヘースト(b)マタイン・ヴィンク(ds)

Arrangement : ヘンク・ムトーヘルト(1、4、5、7)ロブ・ホースティング(2、3)ユーレ・ハーンストラ(6)

Recorded live at Bimhuis, Amsterdam /2009年4月5日
Producer : Juan Martinez
Recorded by ART-Sonud in Bimhuis
Recording Engineer:Marc Broer
Mix Engineer: Willem van den Berg

悠 雅彦さんのCD評 ( http://www.jazztokyo.com/five/five664.html) から引き継いで録音面からの考察をしよう。
トゥッティでの混濁感が全くなく、これがライブ録音?と、その技術的配慮の音と、開放感溢れる伸びやかな透明感がたまらない。爽快明瞭、大音響、ビッグバンド録音の頂点を聴いた。写真が録音現場と一致はないだろうと思いつつ、悠さん指摘のベースの明瞭さの要因を解読。私も、この配置なら、救われた!と手を叩く。ドラムスの後部にベースが配置されている。しかもベースの後ろはホリゾント。ベースにはアタッチメントの収録は避けられないがアコースティックにマイクが使える。ベースのウォーキングが気持ち良いのは、これだ。
ライブは楽器同士の「かぶり」が大きく、明瞭さに大きく影響する。そのかぶりによる混濁の音が極めて少なく、悠さん指摘の通り明解、ドラムスの音像もベースの音像も、4B鉛筆で描いた様な音像が、くっきりとスピーカー前面に現れる。極めて丁寧なミックスがなされていて、アンサンブルの素晴らしさを録音面でも強力にそれを支えている。サックス・セクションのアルト、テナー、バリトン、各パートのバランスは、お見事!と声が出てしまう。演奏のバランスが元々優れているのは当然だが、マイキングが外れると、この絶妙バランスが得られない。さて、もう一つ見逃せないのは、写真の様なライブ風景が定番であれば、PAシステムに目が向く。通常、目に付くモニタースピーカーが見あたらない。無くてはライブ演奏は困難だろうから仕掛けはあるはず。これが音のかぶりを軽減していることは明確だ。

及川公生:1936年、福岡県生まれ。FM東海(現・FM東京)を経てフリーの録音エンジニアに。ジャスをクラシックのDirect-to-2track録音を中心に、キース・ジャレットや菊地雅章、富樫雅彦、日野皓正、山下和仁などを手がける。2003年度日本音響家協会賞を受賞。現在、音響芸術専門学校講師。著書にCD-ROMブック「及川公生のサウンド・レシピ」(ユニコム)。

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FIVE by FIVE 注目の新譜


NEW1.31 '16

追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley

FIVE by FIVE
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣


COLUMN
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi

#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報 シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻


音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美

カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子

及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)

オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美

ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)

INTERVIEW
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義

CONCERT/LIVE REPORT
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄


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