#  365

沖 至 meets 古谷暢康
2011年10月2日 @Bitches Brew for hipsters only 横浜・白楽
reported & photographed by 原田和男

沖 至 (tp)
古谷暢康 (fl, cl)

飛び入り参加:
川崎 知 (ts)
鈴木公二(ts)

10月2日、滞仏30有余年になるトランぺッター沖至と、何と17歳にして出国、欧州各地を遍歴、リスボンから帰国したリード奏者・古谷暢康のライブを白楽のビッチェズ・ブリューに聴きに出掛けた。
沖さんには久しぶりに会いたかったのと、自作のトランペットがどんなものかこの目で確認し、音色を直に聞いてみたかったのだ。
また、店主の杉田誠一が「いま、ジャズ・シーンでもっとも突出しているマルチ・リード奏者は、誰が何といおうが、古谷暢康である」「来たるべき音がここにある」と熱く語る古谷暢康との共演にも興味津々だったことももうひとつの理由であった。

沖は、何度も手を加え遂には朝顔(ベル)の位置が右に反転したオールド・バックのトランペットに、詩人の白石かずこが低奏部の朝顔が駱駝の瘤に似ていることからキャメル・トランペットと名付けた、自作の2本の朝顔を持つユニークなトランペットを持って登場。
これは、3本のバルブから朝顔に繋がる通常のラッパの構造に、1本のピストンを接続し、これを押し下げることで3本のバルブ操作から出る音を一気に低音部に導入し、締めて5オクターブを轟かせ、音色と音程を変幻自在に操ることを可能にしたまったくもってユニークなもの。沖さん曰く別名「エコー・トランペット」と呼ばれるものだそうだ。
さすがに阪大の工学部出身だけに楽器の精度は確かなものだ。アート・ファーマーの「フランペット」よりはるかに商品価値は高いと思う。量産化を望みたいものだ。

さて古谷はと見れば、見慣れぬクラリネットだ。長いぞ!それにフルートも持ってきている。
1st セット;
沖が風と化し、木々がしなり葉が舞い上がるなか、古谷が呪文を唱えると権化が現れ裁定をくだす。

両者の楽器は身体の一部と化し、精神の高揚を発露する。二人の“現代の虚無僧”とも言えるその孤高の姿は神々しい。

後日、古谷に件(くだん)のクラリネットを問合せたところ、以下のメールがすぐさま返ってきた;

「あのクラリネットはG調のエーラー式(アカデミー式)です。現在、G調を制作しているのはKarl HammerschimidtとAmatiそしてトルコの個人工房だけだったと思います。なぜG調かというと、モーツアルトの頃にはクラリネットダモーレというバセットホルンの2音高音のクラがあり、それがG調であった様ですが、歴史からは完全に姿を消しました。再びG調が現れるのは19世紀後半のオスマン帝国で、ドイツ系の国から近代楽器が齎された時に、ミュラー/アルバート式のクラリネットがトルコ音楽に使われる様になったけれども、移調の問題がでてG管に伸ばしてトルコやギリシャで複製されたのが切っ掛けという風に分析しています。故に当地ではクラといえばG管で、金属管が昔は多かったのですが、ポップスなどでもつかわれるようになった経緯から、ヨーロッパのクラ工房が試作品的に作ったものが意外と需要があり、主にトルコやギリシャの民族音楽演奏家が購入するだけという、どマイナーな楽器ですが、絶やさず作られています。
ちなみにトルコやトラキヤではGirnataグルナタという呼称です。」

とあった。ヨーロッパを転戦し、「イスタンブールに居を構え,同市駐留のトルコ陸軍西部方面師団ハルビエ陸軍文化広報局内古典音楽部隊にて、オスマン朝古典軍楽とトルコ音楽を学び、ズルナ奏者として勤務」の経験も持つ古谷暢康は、こと音楽に関しては博覧強記、奏でる音楽の精神性の高さに脱帽した。

2nd セット;
先の二人に、朝顔が通常のテナー・サックスより大きいオールド・コーンで、分厚く深い音で雄々しさが魅力の川崎知が大阪から、さらに、齢50を過ぎて5オクターブ上の短六度で実音のE音を引っさげて登場した鈴木公二、テナー・サックスが意気も高らかに参戦。集団即興演奏の極地を展開、まさに時代を撃つスナイパーと化したのだった!

* 関連リンク:
http://www.jazztokyo.com/qa/qa.html











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#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣


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#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報 シスコ・ブラッドリー
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