Concert Report #691

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 2014 祝祭の日 (後編)
La Folle Journee au Japon 2014 - Jours de Fetes

2014年5月2日〜5日 東京国際フォーラム
text by 神野秀雄 Hideo Kanno
photo by ⓒ2014 K. Miura (except shown as ⓒ2014 Hideo Kanno)

        

ゴールデンウィークの丸の内を賑やかにクラシック音楽で満たす「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」(LFJ)。10周年となる2014年は、東京国際フォーラム、よみうりホール(有楽町)、よみうり大手町ホールおよびその周辺で有料・無料公演あわせて366公演が開催され、来場者は有料公演で151,001人、総来場者数は612,000人に及んだ。
今年のテーマは「Jours de Fetes 祝祭の日」。10回目のお祝いに10人の作曲家が駆けつけてくる、1人ずつお友達を連れてという設定だ。ヴィヴァルディ&バッハ、モーツァルト&ハイドン、ベートーヴェン&モシェレス、シューベルト&ディアヴェッリ、ショパン&リスト、ブラームス&シューマン、チャイコフスキー&ラフマニノフ、ドヴォルザーク&ブラームス、ラヴェル&フォーレ、ガーシュウィン&ブーランジェ。本家ナントでのテーマは「アメリカ」であり、LFJでも「アメリカ」関連公演を多く設定することが表明されていた。このテーマを巡る意味については文末で論じたい。
6月号で、「ルネ・マルタン トークイベント: 革新的な音楽祭のつくり方」、前夜祭をはじめ、LFJ前編を掲載させていただいたので、そちらから読み始めていただければ幸いだ。
http://jazztokyo.com/live_report/report688.html

※本記事の演奏曲目リストについては、事前発表のリストに大きく依存し、当日の演目とわずかに異なる可能性、アンコール曲が漏れている可能性があることをお許しいただきたい。

児玉 桃
#156 2014年 5月3日19:45-20:40 ホールD7


シューマン:子供の情景 op.15
第1曲 見知らぬ国と人々について
第2曲 不思議なお話
第3曲 鬼ごっこ
第4曲 おねだり
第5曲 十分に幸せ
第6曲 重大な出来事
第7曲 トロイメライ(夢)
第8曲 暖炉のそばで
第9曲 木馬の騎士
第10曲 むきになって
第11曲 怖がらせ (おどかし)
第12曲 眠りに入る子供
第13曲 詩人は語る

シューマン:クライスレリアーナ op.16
第1曲 激しく動いて
第2曲 心を込めて、速すぎずに
第3曲 激しく駆り立てられて
第4曲 極めて遅く
第5曲 生き生きと
第6曲 極めて遅く
第7曲 非常に遅く
第8曲 速く、諧謔(かいぎゃく)をもって

#283 2014年 5月4日14:30-15:15 よみうり大手町ホール

音楽の捧げもの<最期の音楽>
ショパン:マズルカ op.41
ショパン:ピアノソナタ第3番 ロ短調 op.58
ショパン:マズルカ op.24-1

#331 2014年5月5日 11:15-12:05 ホールB5

ショパン:4つのマズルカ op.24
ショパン:2つのノクターン op.27
ショパン:スケルツォ第3番 嬰ハ短調 op.39
ショパン:即興曲第2番 嬰ヘ長調 op.36
ショパン:スケルツォ第2番 変ロ短調 op.31



  ホールB5 © Hideo Kanno

ECMでの初録音、ラヴェル、武満、メシアンを弾いた『La vallee des cloches』(ECM New Series 2343)を2013年にリリースした児玉 桃。パリを拠点に活躍し、これまでもLFJで名演を残しているが、今年は「LFJで日本人ECMアーチストを聴く」という点からより強い関心を持った。一部ジャズ・ミュージシャンを含め日本のECMファンは、溢れるほどの愛と、購買力でECMを支えながら、日本人名義の音楽がECMにほとんど取り上げて来られなかったことにコンプレックスがあると思う。ECMプロデューサーのマンフレート・アイヒャーは、ミュンヘンのECM展でのシンポジウムで「日本に素晴らしいミュージシャンがいることは知っているが、時間的、物理的な制約の中でアジアでの録音は困難で、ヨーロッパとニューヨークを中心とせざるを得ない」と説明していた。菊池雅章トリオの録音が2012年にリリースされているが、ここにきてマンフレートは、なぜ児玉のピアノを録音したかったのかを耳で確かめたかった。

児玉は力強く確かなタッチでピアノをしっかりと豊かに鳴らし、心地よくバランスの良い響きが広がる。#156では、シューマンの<子供の情景>と<クライスレリアーナ>で個人的には馴染みの薄かったシューマンの世界観に思わず引き込まれ、またショパンでは、華やかさの陰に切なさと強さが入り交じる彼の魂が伝わる。ポーランドを離れた後、故郷に戻らなかったショパンの望郷の念をも伝えているかのようだ。
#283は完成したばかりのよみうり大手町ホールで、さすがに安定した響きを聴かせたが、前半は若干硬めな響きを感じ、後半に向けて音が柔らかくなりホールに馴染んで行くのを感じた。直前のリハーサルが難しいフェスティバルにあって、ピアノとホールの最適点を本番中に探すのを実感することがある。ちなみに6月、パリ日本文化会館での塩谷哲と上妻宏光のAGA-SHIO公演でも塩谷がYAMAHA CF-Xと津軽三味線とホールの響きの最適点を探しあてて行くのが感じられた。そしてその最適化して行く過程に観客の存在と反応があることも重要だ。
不思議な魅力を持ったハコとなったのがホールB5。平面の大会議場を仮設壁で区切った横長の空間だ。ここで児玉はショパンの名曲の数々を特に集中し魂を込めるように演奏し、曲間にもいっさい拍手がなく優しく張りつめた空気が支配する。解説には「ショパンが遺した、豊かな詩情に満ちるピアノ作品をつないで、物語のような一つの演奏会を届ける」と書いてあった。そして空間を満たす美しすぎる音色と、伝わる想いに涙が出た。ホールB5の良さで思い当たるとしたら、ピアノを観客が暖かく取り囲み、とても近い距離感だろうか。ホールCを含む3カ所で聴いたトーマス・エンコもホールB5が最高だった。東京国際フォーラム ホールB5も、先述のパリ日本文化会館にしても音楽専用ホールとはいえないが、ミュージシャンと観客と空間が響き合ったときに生まれる瞬間の音、またそうして育てられるハコの魅力に気づかされた。
先立って3月19日、ECM New Seriesを代表するピアニスト、アンドラーシュ・シフのメンデルスゾーンとシューマンをオペラシティで聴いた。これも常に新しい音を求めてきたマンフレート・アイヒャーのひとつの到達点とは何かを知るためでもあった。アンドラーシュも児玉にしても、ピアノとピアニストが一体となり、どこまでも美しく繊細にピアノを最大限に鳴らし、作曲家の描いたストーリーや風景を楽譜の奥底から読み出し、淡々とそして明確に浮かび上がらせる。一瞬、一瞬の音、響きだけで感動させ涙の出るような、そんな究極のピアニストの音響を最高の形で作品に残したい、それがマンフレートの高優先順位にあると思う。今後も児玉の演奏と録音を楽しみにして行きたいと思う。


リディヤ・ビジャーク&サンヤ・ビジャーク
Lidija Bizjak & Sonija Bizjak
#154 2014年5月3日 17:00 ホールD7


ラヴェル:スペイン狂詩曲
第1曲 夜への前奏曲
第2曲 マラゲーニャ
第3曲 ハバネラ
第4曲 祭

ラヴェル:マ・メール・ロワ
第1曲 眠れる森の美女のパヴァーヌ
第2曲 親指小僧
第3曲 女王の陶器人形レドロネット
第4曲 美女と野獣の対話
第5曲 妖精の園

ラヴェル:ラ・ヴァルス

セルビア・ベオグラード出身の姉リディヤ・ビジャークと妹サンヤ・ビジャークのピアノデュオ。二人ともパリ国立音楽院でルヴィエに師事。2005年、デュオでパリ国立音楽院アヴァン・セーヌ・コンクール優勝、ミュンヘン国際コンクール特別賞を受けている。世代的には思春期がユーゴスラビア内戦に重なると思われ、昨日までの隣人が傷つけ合う記憶、心の深い傷を思うと心が痛む。
<夜への前奏曲>が沈黙と中から美しく響きだし<スペイン狂詩曲>が始まる。ときに鳥肌のたつような響きを聴かせながら息があった演奏を聴かせる。<マ・メール・ロワ>の連弾では、控えめだが豊かに響き、4つの手がシンプルだが楽しく幻想的な絵を描いていく。<ラ・ヴァルス>での2台のピアノのダイナミックで華やかなやりとり、絶妙なグルーヴが心を躍らせる。なお、最終日#356では、バーンスタインの「ウエストサイド物語」を演奏しており、こちらも聴いてみたかった。

ナディア・ブーランジェ・トリビュート
ヴァネッサ・ワーグナー Vanessa Wagner (ピアノ)
#263 2014年5月4日 13:30 G409


フィリップ・グラス:メタモルフォーシス 
T、U、V、W、X
ジョージ・ガーシュウィン:3つの前奏曲
第1曲 変ロ長調
第2曲 嬰ハ短調
第3曲 変ホ短調
アーロン・コープランド:4つのピアノ・ブルース
第1曲 さまざまなポエム
第2曲 甘さと物憂げ
第3曲 黙りと感覚
第4曲 はずみをつけて
フィリップ・グラス:ウィチタ・ヴォルテックス・スートラ

今回、ガーシュウィンが友人として連れてきたフランスの作曲者・教育者ナディア・ブーランジェ。そのトリビュートとして、このヴァネッサ・ワーグナーのピアノソロと、前日#163、ギターの鈴木大介のコンサート(こちらは存在を見逃した)があった。ナディアの弟子であるフィリップ・グラスの<メタモルフォーシス>は、サティを彷彿させるようにシンプルな曲が少しずつ変容して行く。ガーシュウィンの<3つの前奏曲>ではジャズとブルースのにおいを感じる。ガーシュウィンは、ナディアに教えを乞おうとしたが、ナディアは才能の邪魔をしたくないと断ったと言う。そして、ヴァネッサがこれらの名曲を美しい響きで確かなタッチで奏でた。

#146 ヴァネッサ・ワーグナー(ピアノ) MURCOF(電子音楽)
2014年5月3日 21:20 ホールC


ケージ:ある風景の中で
アダムス:中国の門
グラス:メタモルフォーシス U
フェルドマン:ピアノ小品 1952
ペルト:アリヌシュカの癒しにもとづく変奏曲
グラス:メタモルフォーシス X
グラス:ウィチタ・ヴォルテックス・スートラ



ルネ・マルタンの仕掛けた今年のサプライズのひとつが、メキシコ出身の本名フェルナンド・コロナによる、エレクトロニック・ミュージックのMurcof。この公演では、ヴァネッサ・ワーグナーのピアノソロにMurcofが電子的処理を加え、多様な音響空間を即興的に創造していく。ヴァネッサはピアノの様々な響きの可能性に注目して、フォルテピアノ、電子ピアノまでを活動に取り入れており、その延長上で、Murcofとの共演を企画している。
20世紀アメリカ作曲家の比較的シンプルな小品を取り上げ、ヴァネッサは、淡々と美しい音色でピアノを弾き続ける。Murcofがかぶせてくる音はアンビエント的で、ヴァネッサの音を包み込みながらときに瞑想的に、ときに強いビートと大音量で音響空間を創り出す。当日、アメリカの作品の他に、ECMでもおなじみのアルヴォ・ペルトの作品が加えられた。

小曽根真 featuring No Name Horses
#345 2014年5月5日 19:45- ホールC
ガーシュウィン × ガーシュウィン


No Strings Attached (Makoto Ozone) - Short version
Rhapsody in Blue (George Gershwin / Arr. by Makoto Ozone)
Someone to Watch over Me (George Gershwin / Arr. by Makoto Ozone)

#346 5月5日 20:30- ホールC
ガーシュウィン × OZONE


Rhapsody in Blue (George Gershwin / Arr. by Makoto Ozone)
No Strings Attached (Makoto Ozone) - Full version
Someone to Watch over Me (George Gershwin)

小曽根 真(p) 中村健吾(b) 高橋信之介(ds)
エリック・ミヤシロ(tp) 木幡光邦(tp) 奥村 晶(tp) 岡崎好朗(tp)
中川英二郎(tb) 片岡雄三(tb) 山城純子(b-tb)
近藤和彦(as,ss,fl,piccolo) 池田 篤(as) 三木俊雄(ts) 岡崎正典(ts,cl) 岩持芳宏(bs,b-cl)
岡田勇輔(照明) 伊藤文善(音響)




  © Hideo Kanno

前夜祭「アメリカの夜」での小曽根真とジャン=ジャック・カンタロフ指揮シンフォニア・ヴァルソヴィアの<ラプソディ・イン・ブルー>で幕を開けたLFJ。そして、ホールCでの最終公演がNo Name Horsesの<ラプソディ・イン・ブルー>。今年のLFJは10人の作曲家をテーマにした「祝祭の日」であったが、その1人が、ジョージ・ガーシュウィンとそのお友達ナディア・ブーランジェ。本家ナントのテーマが「アメリカ」だったことがあり、ホールAでの#316という全体の締めはあったものの、隠れテーマだった「アメリカ」を締めるのがこの公演だった。
ホールCに入ると照明の岡田勇輔が創り出す華やかで落ち着いた空間に目を奪われる。音響の伊藤文善とあわせて、最近のNo Name Horsesは、単なるコンサートではなく、演劇にも通じる総合的かつ繊細に感性に訴える芸術になっている。「Road」ツアーでの照明も本当に素晴らしかった。なお、アルバム『Road』の収録を終了し発売が予定されている。
<ラプソディ・イン・ブルー>はジャズ的に捉えられることが多いものの、構造的に自由度が高いわけではなく、編曲するということについては、ずっと原曲を超えられないと思っていた。基本的に<ラプソディ・イン・ブルー>を長くするということは、持ち味の展開のスピード感が損なわれることと表裏一体で、今回は約2倍の長さだが、ブラスのインパクトと色彩感で、変化点を強調することでむしろスピード感が増した。フォービートやラテンやさまざまなリズムの移り変わりを盛り込むことで、ニューヨークのモザイク状の街の構造や、心地よい喧噪を彷彿させ力強いパワーを生み出していた。ガーシュウィンがビッグバンドにアレンジするならこんな風にしたかったのではと思える、珠玉のアレンジだった。
<No Strings Attached>は、もともとピアノトリオに書かれた曲だが、ビッグバンドアレンジによって新しい命を得て、特にコレクティブ・インプロビゼーションは圧巻だ。
# 345の3曲目、# 346のアンコールで演奏されたのが、<Someone to Watch over Me>。以前、野村不動産CM「PROUD × MILFORD SOUND」で放映されていた、サックスアンサンブルの美しいハーモニーから始まる美しいアレンジを通しで聴くことができた。美しい余韻に包まれて今年のLFJ「アメリカ」編は静かに締め括られた。

なお、ホールAにおける最終公演は、ジャン=ジャック・カントロフ指揮シンフォニア・ヴァルソヴィア、萩原麻未によるラヴェル<ピアノ協奏曲ト長調>、<ボレロ>、そしてカスタネットのルセロ・テナで締めくくられた。<ピアノ協奏曲>(1931年)はアメリカ演奏旅行後に作曲され、ジャズの影響もあったことを考えれば、こちらでも隠れテーマ「アメリカ」を近くに感じさせる構成でもあった。

今年のLFJテーマ作曲家の1人であったジョージ・ガーシュウィン(1898年〜1937年)。お友達にフランスの作曲者・教育者ナディア・ブーランジェ(1887年〜1979年) を連れてきたという設定になっている。弟子には、レナード・バーンスタイン、アーロン・コープランド、ミシェル・ルグラン、アストル・ピアソラ、フィリップ・グラス、キース・ジャレット、エグベルト・ジスモンチ、クインシー・ジョーンズなどがいる。クラシック・ソムリエ田中泰によると、クインシー・ジョーンズ自叙伝に、ナディアが「一番影響力のある人物はストラヴィンスキーとクインシー・ジョーンズよ」と語ったと記載されているという。クインシー・ジョーンズの音楽シーンに与えた影響はあまりに大きく、その先にはマイケル・ジャクソンもいる。日本でもクインシーの影響を受けたというミュージシャンは数多く、昨年トリビュート・コンサートをプロデュースした亀田誠治もいるし、塩谷哲もその一人だ。そうするとJ-Popもナディア、クインシーの影響下にある。なお、小曽根真はバークリー音楽大学卒業時にクインシーに才能を見いだされ、クインシー・プロデュースでのデビューを提案された縁もある。音楽の影響の流れは複雑で一本ではないけれど、ナディアという視点から、クラシックの歴史と遺産、あるいはそこから抽出された大切な要素が、現在の音楽に確実に受け渡され、さまざまな個性として育ち、開花していったことがわかる。10年目にしてLFJのテーマが、現在進行形の音楽とダイレクトにコネクトしたことに強い感動を覚えた。

今年の実績は、有料・無料公演あわせて366公演、販売可能席数167,399席、販売数151,001枚(90.2%)。幅広い音楽を網羅したこともあり、3日間体制の年の中では販売可能座席数と販売数では最大となった。販売率90%は、売れ切っていないというよりも、当日ふらっと訪れる客層にもある程度の参加の余地があるという点で適正と考える、KAJIMOTO代表・LFJアーティスティック・プロデューサーの梶本眞秀がコメントしており、強く同意する。実際、売り切れ公演が多いものの、当日でも一定の多様性を持ったコンサートの購入・参加の余地が残されていた。また、これまで室内楽では会場の大きさに制約があり、売り切れが発生しやすかったが、マルタ・アルゲリッチ、ギドン・クレーメル(ギドンもECMに作品を残している)らの演奏を巨大なホールAで行い、その空間に見事に響いたことは、会場運用の自由度にとって大きな実績となった。音楽的にもエリック・ミヤシロが語っていた「よい音なら必ず届く」、フルートのジュリエット・ユレルがマスターコースで語った「楽器を鳴らすのではなく、遠くへ風を届ける」を強烈に実感する貴重な体験でもあった。

今回、LFJを見まわして気づいたのは、プログラムの中で管打楽器、特に金管楽器フォーカスが弱いということだ。木管楽器はそれなりに。日本のほぼすべての中学高校にブラスバンドがあり、500万人近い吹奏楽経験者がいる中で、その多くはクラシックに有機的なつながりを持てないまま、卒業とともに去って行く。この層はクラシック・ファン層を拡げる鉱脈になるかもしれない。LFJでももっと金管や打楽器もフォーカスされたら。テレビ朝日「題名のない音楽会」のリクエスト特集でも実はクラシック・コンテンツを抑えて、エリック・ミヤシロが事実上のリクエスト数のトップになっていたことが金管、吹奏楽ファン層の厚みも示していると思う。「みんなで第九」にも多数の管打楽器が参加していた。「大友良英&あまちゃんスペシャルビッグバンド」でもブラス主体のバンドのCDが発売初日に25,000枚も売れるという事態が起こっている。
よく考えたらLFJに金管スタープレイヤーが不在などということはなく、エリック・ミヤシロ(tp)、中川英二郎(tb)らが参加し、今回はプログラム上では無名になっていたが、彼らの名前をプログラムに明記するだけでも大きなインパクトが生まれてくると思う。

例年、最終日に翌年のテーマが発表される。発表は!未定、検討中で、6月頃発表予定というものだったが、確か、未だに発表されていないと思う。本家ナントは「バロック」であることが決まっている。少なくとも、これまでの10年のように特定の作曲家や学派でくくるのではなく、全く斬新な切り口で臨みたいと考えているようだ。ルネに、今回、20世紀作品からMurcofまでポジティブ受け入れられている現状に鑑みて、今後、現代音楽から現在進行形の音楽をどのように取り上げていくのか?と問いかけると、もともとナントでは現代音楽はすでに高い割合をしめているとのことで、日本でも引き続き積極的に紹介していきたいとのことだった。

「アメリカ」という切り口の成功、ルネ・マルタンとLFJの革新性にあらためて触れることができ、得るところの多い第10回LFJとなった。第11回LFJではどんな出会いとサプライズがあるのか楽しみでならない。これだけの大プロジェクトを立ち上げ、10年間にわたって継続されてきた関係者、スタッフ、ボランティア、ミュージシャン、時間と空間を共にしてきたみなさんに心から感謝したい。

【JT関連リンク】
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 2013
http://www.jazztokyo.com/live_report/report533.html
http://www.jazztokyo.com/live_report/report528.html
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 2014 (前編)
http://www.jazztokyo.com/live_report/report688.html
児玉 桃 ピアノリサイタル
http://www.jazztokyo.com/live_report/report624.html
『児玉 桃/鐘の谷〜ラヴェル、武満、メシアン:ピアノ作品集』
http://www.jazztokyo.com/five/five1043.html
アンドラーシュ・シフ ピアノリサイタル
http://www.jazztokyo.com/live_report/report668.html
東京JAZZ 2013
http://www.jazztokyo.com/live_report/report580.html
http://www.jazztokyo.com/live_report/report581.html

【関連リンク】
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 公式ウェブサイト
http://www.lfj.jp/lfj_2014/
La Folle Journee de Nantes
http://www.follejournee.fr
Momo Kodama / La vallée des cloches (ECM New Series 2343)
http://ecmrecords.com/Catalogue/New_Series/2300/2343.php
Momo Kodama Official website
http://momokodama.com
AGA-SHIO 上妻宏光×塩谷哲 パリ日本文化会館
http://www.mcjp.fr/日本語/公演/aga-shio-1048/aga-shio-1182

神野秀雄(かんの・ひでお)
福島県出身。東京大学理学系研究科生物化学専攻修士課程修了。保原中学校吹奏楽部でサックスを始め、福島高校ジャズ研から東京大学ジャズ研へ。『キース・ジャレット/マイ・ソング』を中学で聴いて以来のECMファン。

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FIVE by FIVE 注目の新譜


NEW1.31 '16

追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley

FIVE by FIVE
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣


COLUMN
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi

#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報 シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻


音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美

カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子

及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)

オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美

ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)

INTERVIEW
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義

CONCERT/LIVE REPORT
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄


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