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『Torgeir Vassvik/Saivu』 Idut/ICD061 (2006年) ●Torgeir Vassvik (vo, frame drums) Anders Jormin (b) Arve Henriksen (tp, vo, electronics), Per Oddvar Johansen (ds on 1, 6, 7) Terje Isungset (ds on 9) Reidar Skar (electronics on 3) ●Halo (Aitalasta)/The Sea (Ahpi)/Calling (Ravkan)/Siberia (Sibirija)/Silver (Silba)/Saivu (Saivu)/Fire Song (Dolla)/Varg (Ruomas)/Toundra (Duottar)/Blue Membrane (Alit Cuozza) ●Produced by Arve Henriksen ノルウェーのトランぺッターのアルヴェ・ヘンリクセンの2ndアルバム『キアロスクーロ』がリリースされた頃、わたしの店でそのCDをかけると、音楽に強い関心を持たない人までも必ずと言ってよいほど誰のCDなのかと聞いてきた。今年に入って、お客がまったく同じ反応を示すCDがまた登場。それほどに希求力のある音楽なのだ。そして奇しくもと言うべきか、そのCD、つまり本作にもアルヴェ・ヘンリクセンが絡んでいる。 Vassvik は、ヨイクの歌唱法を含む、声帯だけでなく喉そのものを使って発声する北方スカンジナビアのサーミ (サーメ人) の唱法を駆使する伝承音楽の歌い手。 ECMでもお馴染みのスウェーデン出身のベーシスト、アンデシュ・ヨルミンと共にヘンリクセンは全曲に参加。さらにクリスチャン・ヴァルムレーやトリグヴェ・サイムのECM作品等に参加しているペール・オッドヴァール・ヨハンセンも3曲でドラムスを担当。Vassvik
自身もフレームドラムを叩いている。 さらに Vassvik の歌とその歌い回しが、我々日本人の耳に、まるでアイヌ民謡や木挽き歌のように聴こえるのだ。スカンジナビアの北の地に出向いて、突然日本の民謡に出会ったというこの衝撃。 (原田正夫) |