『Mark Zubek/Twentytwodollarfishlunch』

FRESH SOUND NEW TALENT 2009

MARK ZUBEK(b), AVISHAI COHEN(tp), MARC TURNER(ts:right), SEAMUS BLAKE(ts:left), KEVIN ZUBEK(ds)

1. THE ANGRY GIANT
3. PARADOX
4. TURKEY
5. 2ND TIME OUT
6. BETTER PLACE
7. MONKEY
8. ON TRACK
9. RIGHT BETWEEN THE EYES
10. PLASTIFIED

http://www.markzubek.com/
http://www.allaboutjazz.com
/php/article.php?id=32019

パフュームに対抗するぞ。

これ、ほんとはジャケ買い。ゴールデンウィーク明けの財政出動でCDを売りに行ったディスクユニオン新宿店の店頭で、モノトーンのこのジャケに「カッコイイ!そ、それに、どしてメガホン?」、メガホンというと越境ジャズ者は即座にアジテートするハル・ラッセルを連想するのだ、ほかのCDショップでは気付かなかったかもしれない、いかがわしいジャズの不穏のフレイバが漂っていなければ気付かない、しかして、手に取る、「なんだ、レーベルはFSNTか」と棚に戻す。店員の怪人四浦が寄ってきて「あ、それ、たださんが好きなマーク・ターナー、入ってます」と耳打ちをする。で、お買い上げ。

1曲目、エッジの効いたブンブンベースに、つんのめるようなタイコの寄せの変拍子的不穏が行進し、ハードバップ調に3管が登場する、もうその1分間ぐらい、この5にんの奏者が束ねられているありようの中に、彼らのポテンシャルを知る。もう、このCDアタリ!です。2分すぎにサミュエル・ブレイクのソロが、予期していたとおりのすばらしい、予期できないフレーズで。決まっていて、旧くて、新しくて、今を感じさせるジャズ盤を久しぶりに聴いた気がする。

リーダーでベースのマーク・ズベクというひとは、HPを見てみるとポップスやロックのプロデューサーで、自分で歌も歌うは、カリンバ音のトランスミュージックとかまで制作してしまうマルチタレントのようだ。このCDで、3曲メガホンを使って?歌っているが、どれもいまいちぬるい。時代遅れのフィルコリンズが場末でがなっているようなB級ぶりは、他のトラックとの落差が痛い。ポップスは甘くねえぜ。

でもな!右トラックのマーク・ターナーを筆頭に、アヴィシャイ、ブレイクの3管から耳が離せねー。なんとも、指を怪我する前のターナーの演奏だともいうし、いや、そんなふうに聴くのはやめて!

これさ、タイコの才覚もたいしたものだぜ。タイコのケヴィン・ズベク、は、マークの兄か?イスラエルのギタリストEyal Moazとアヴィシャイらとのギターカルテット、レモン・ジュース・カルテットなんてのがあるらしいが。もっと活躍してほしいよね、これだけ変拍子含みでずたずた叩けるタイコはさ。

つまりだ、ズベク兄弟が支えるリズム隊の決まり具合、ズベクのコンポジション、そして3管の人選、という、ズベクのプロデューサーとしての才覚が、このバランスを冷徹にまとめあげているってことなのだ。録音の音像のとりまとめかたもさ。美味しい音の聴かせかたするよね。たぶん、このクールさもおじさんの耳(おいら)には新鮮なのだよ。

だいたい「22ドルお魚定食」ってタイトルがいいぞ。2曲目の「giant things by the side of the highway」て曲はトロントのThe Worst Pop Band Everという人をくった名前のバンドのものですが、この素性がとっても気になります。いろんな縦糸や横糸を引っ張って、ジャズの部外者のふりしてストライクゾーンを決めてしまうような、マーク・ズベクさん、カッコよくていとおしいです。2009年なんだねー。JT

(多田雅範)

Close >>