『Monk Hughes & The Outer Realm/A Tribute to Brother Weldon』

Stones Throw Records STH2092

Joe McDuphrey -- fender rhodes, arp, piano
Morgan Adams III -- organ, moog, percussion
Monk Hughes -- all basses & electric space keyboards
Otis Jackson Jr. -- drums & loops, kalimba

Produced by Madlib

マッドリブの名前にピンと来なければもはやモグリってくらいにこのヒップホップDJの存在はジャズファンにとっても無視できないものとなりつつあるけれど(ブルーノート音源をリミックスした『Shades of Blue 』は聴いた?)、そのマッドリブ率いる(といってもメンバーは彼だけ)架空のジャズコンボ“Yesterdays New Quintet”のベース奏者のソロ・プロジェクトという設定でつくられたのがこのアルバムで、これがまたニーナ・シモンとの共演で名を馳せ、90年代以降はヒップホップ陣営から絶大なリスペクトを受ける鍵盤奏者ウェルドン・アーヴァインのトリビュート盤ときた日にはそれだけで「たまらん!」となるわけなのだが、にしても、このスペイシーかつサイケデリックな音像の凄まじさ。ゆらゆら揺れる妖し気なブレイクビーツに執拗に絡まるアナログシンセとエレピ。フリー/スピリチャル・ジャズをヒップホップの方法論をもって換骨奪胎しながら今の“ジャズ”として自律させてしまう力業。熱かった頃のブラックジャズのクリエイティビティ、精神性、身体性を濃縮して煮詰め、さながら黒い汁がどろりとスピーカーから滴るかのようだ。劇薬。
(若林恵) 


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