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『James Carter Organ Trio/Out Of Nowhere』
Half Note Records (2005) James Carter —saxophones Gerard Gibbs —organ Leonard King —drums Hamiet Bluiett —baritone saxophone James "Blood" Ulmer —guitar 1: Out Of Nowhere 2: Along Came Betty 3: Highjack 4: Song For Camille 5: Little Red Rooster — (with James "Blood" Ulmer) 6: I Believe I Can Fly Recorded at Blue Note, New York. 臆面のないサックス馬鹿。何やってもベタ。だから、ちょっと聴いていて気恥ずかしい。時代に対して常にクレバーに対応し続けるジョシュア・レッドマンと比較するとその頭の悪さは余計際立つ。でも、そんなところがファンにしてみれば余計愛おしいわけで、身びいきの対象としてジェームス・カーターは昨今のジャズ・シーンでは貴重な存在だ。とはいえたまにはホームランをかっとばして、すかしたジャズ・ファンの鼻を明かしてもらいたいと常々思っていたのだけれども、いやあ、やってくれました。これはジョシュアの新作よりもいい!と断言しとく。とにかく、暑い!暑苦しすぎる!オルガントリオをバックに傍若無人に吹き捲くり。しかもライブ録音だから、ジェームスのサックス馬鹿ぶりが如何なく定着されて、言うこと無し。ハミエット・ブリュイット、ジェームズ・ブラッド・アルマーのゲスト陣相手にひるむことなくブリブリ、バキバキと、ソウルフルかつブルージーな肉弾戦を大展開。しかもラストはR・ケリーのアホアホナンバーで昇天。だらだら汗をかきながら、うだる暑さに身をまかせて聴くにはもってこいというだけでなく、下手な策を弄さず一点突破に賭けたそのつきぬけた馬鹿さ加減に、かえって時代に対する有効性を見る。知能指数と身体能力が反比例すればするほど心地いいという、ブラックミュージックの核心に“ずぼり”とはまりました。 JT (若林恵 wakabayashi, kei)
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