#  このライブ/このコンサート2012国内編#04

『令嬢ジュリー』
text by 杉田誠一
2012年12月14日(金) @スウェーデン大使館内 ベルイマンホール



渡邉宰希 南風ゆり 井上翼久 馬場太史 西村尚恭他
音楽:大由鬼山(尺八)高谷秀司(ギター)

 ジャズの現場にどっぷりと浸かっていると、何度となく、アクチュアルな事件と出っくわすこととなる。しばしば、縁の下の力持ちとして、事件を起こすことも__。きわめて意識的にね。
 大由鬼山(尺八)と坂田明(as)が初めて出会ったのは、ここ<Bitches Brew for hipsters only>である。その時は、纐纈雅代(as) にとっても、各々、初ギグである。
 マサ大家(g)と“G2us”で大活躍のブルース・ギタリスト、高谷秀司と大由が初めて出会ったのも、ここ<Bitches Brew>である。予測以上のスピードで、ここは、“センター・オブ・ザ・ワールド”になりつつあるとマジに考えている。いや、しなくっちゃ意味がない。もう7年だぜ。
 2012年5月、ミラノでのチャリティ・ジャズ・イベント“JapzItaly”のYouTubeにぜひともアクセスされたい。坂田明と大由鬼山の過激なインプロバイズド・ミュージックは、すさまじいといか言いようがない。アルトの楽器とての限界は未だ突破していないけれども、尺八のそれは完全に超えてしまっている。
 2011年、高谷秀司は、人間国宝・山本邦山と『大吟醸』を収録。大由鬼山とは“JapzItaly”で大家と共に共演。はっきり言って、鬼山は、邦山師に勝るとも劣らない。参考までに、二人とも都山流であるが、“うた心”とラジカルな情動性という意味では、ピン〜キリほどの落差を感じてしまうのは、ぼくだけかしら?
 2012年12月14日(金)〜16日(土)、スウェーデン大使館内<ベルイマンホール>で『令嬢ジュリー』(A.ストリンドベリィ)の音楽を大由鬼山と高谷秀司が担当する。
 初日には、スウェーデン大使が来られ、即、来2013年、ストックホルム公演が決定。ストリンドベリィ(1849~1912) の『令嬢ジュリー』は、ストリンドベリィの風刺性、女性嫌悪性、無政府主義的側面がダイレクトに表現されていて、結構楽しめました。
 演出は、抱(かかえ)晴彦。「勝新の側近だった」ときく。時代を江戸後期に置き換えているのがおもしろい。それも隠れキリシタン。『ゴドーを待ちながら』じゃないけれども、最高権力者、「親方様」は、最後まで出てこない。令嬢ジュリーは、新月の夜、足軽と不倫。足軽は、腰元といい仲。権力者、親方様におびえ、3人は逃亡を計るが、足軽は結局打ち首となる。
 大由鬼山も、高谷秀司も、ほとんどアドリブである。高谷は、小振りの琴も導入。高谷が鳴らしたバード・ウォッチング用の「バードコール」の目白の声が、妙に艶かしくリアルではあった。
 終演後、パーティがあったのだけれど、いわゆるジャズ関係者は、皆無。いずこの現場も、まあ。そんなもんでしょう。(杉田誠一)

WEB shoppingJT jungle tomato

FIVE by FIVE 注目の新譜


NEW1.31 '16

追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley

FIVE by FIVE
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣


COLUMN
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi

#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報 シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻


音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美

カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子

及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)

オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美

ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)

INTERVIEW
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義

CONCERT/LIVE REPORT
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄


Copyright (C) 2004-2015 JAZZTOKYO.
ALL RIGHTS RESERVED.