# このライブ/このコンサート2012海外編#04
『フレッド・ヴァン・ホーフ・ジャズ・ピアノ・ソロ』
text by 望月由美
2012年12月8日(土) 武蔵野スイングホール
今年は国内が1月、海外が12月と年始と年末の選定となった。始めよければ終りよしである。
フレッド・ヴァン・ホーフは何度も日本を訪れてピアノを弾いている。いちばん最初はもうかれこれ20年以上前のこと、“SABU”豊住芳三郎が招聘した。今回もヴァン・ホーフと“SABU”の二人はデュオで各地を巡る。しかしソロはこの日かぎり、しかもコンサート・ホールでのソロとあって期待に胸を弾ませて会場へと向かった。会場は180人収容のこじんまりしたホールでピアノ・ソロには丁度よいスペースである。ステージにはスタインウェイが一台スポットを浴びてたたずんでいる。
白ワイ姿のヴァン・ホーフが登場する。ほんの一瞬ピアノを見つめたあと、10本の指が一気に鍵盤を駆け巡る。10本の指は10人のバレリーナのように華やかに軽やかに鍵盤上を舞い、走り回る。鍵盤を叩くというよりは、むしろ撫でるように。そう、ヴァン・ホーフは鍵盤を愛撫しているのだ。1ステージおよそ50分、スポット・ライトを浴びた指たちは休むことなく嬉々として鍵盤上を踊る。照明のマジックか10人のバレリーナたちは75歳の指とは思えないほどに若くしなやかで艶かしい。そして出てくる音はびしっと背筋の立った強い音で、50分間息つく暇もないエネルギーに驚嘆する。二部の冒頭では、ゴルフボールよりも少し大きい位の大きさの紅白のボールを5〜6個ピアノの弦の上に置き、鍵盤を叩く。弦は尋常ならざる音でふるえ、ヴァン・ホーフの異次元の世界へと誘う。ヴァン・ホーフの音は陰にこもらず外に向かって開かれているところが強い個性となっている。“SABU”豊住は「フリー・ジャズ」っていう型にはまったのは真のフリーじゃないよ、という。ヴァン・ホーフにもフリーという言葉ではくくれない深遠な世界がある。コンサート・ホールでヴァン・ホーフが聴けることじたい贅沢なのに最前列で聴けたのはまさに「このコンサート」にふさわしい夜であった。
年初めの渋谷毅と年の瀬のフレッド・ヴァン・ホーフ、この二人のピアニストは70歳を超えている。スタイルも違う。しかしこの二人に共通していることは音への情熱と執着が今まで以上に高まり、持続していることである。音への向き合い方そのものが日常となっていることの凄さにあらためて敬意を表して「このコンサート」に選定させていただいた。 (望月由美 Yumi Mochizuki)
追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley
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#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣
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JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi
#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報
シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻
音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美
カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子
及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)
オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美
ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)
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#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義
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#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
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