古楽界の巨匠フランス・ブリュッヘンが2009年以来2年ぶりに来日し、新日本フィルのベートーヴェンの交響曲全曲演奏会を行っている(2月27日まで)。前回のハイドン･プロジェクトでも素晴らしい演奏で聴衆をノックアウトした。その余韻を持ってのベートーヴェン・プロジェクトである。交響曲全9曲を番号順に演奏する。リハーサルは第9番から第1番の順に行い、その後改めて第1番から第9番までをプログラム順に行ったようだ。それは行く先に何があるか、何が難しくて､何が易しいかを見極めることができる、とブリュッヘンは語っている。またベートーヴェンの交響曲には興味深い流れがある。それは奇数番号では音楽的に前進し、偶数番号では後退していることが分かるという。
　ブリュッヘンと最初に接したのはリコーダー奏者としてである。ステージの真ん中で長い脚を組んでリコーダーを吹く貴公子然とした姿だった。その後、古楽の｢18世紀オーケストラ｣の指揮者としてモーツァルトの「レクイエム」などの名演を聴かせた。今回も味のある演奏を披露した。
　新日本フィルの定期演奏会ではJ.S.バッハのミサ曲ロ短調を2月26・27日に指揮する。