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spaceone 立ち上げに向けて |
1.事のはじまり
「ミュージジャンが、本当にやりたい音楽を自由に演奏できて、リスナーも共有できる場所があったらいいな!」
事の発端は2010年4月8日から始まった田村と藤井のヨーロッパツアーだった。ドイツ、ロシア、イギリス、フランスの4か国を公演して廻る予定で、イギリスのエディンバラ公演までは順調だったが、ブリストルへ移動する日の早朝、モーニングコールより早いホテルのフロントからの電話で叩き起こされた。「タクシーは来ているが、空港は閉鎖されている。それでも行くのか?」「何だって?」「ボルケーノ!、ボルケーノ!(スコットランド英語)」と言っている。「すぐに用意してロビーへ行くから、タクシー待ってもらって!」例のヨーロッパ中の航路を阻んだアイスランド火山噴火である。「グラスゴー空港へ行ったらどうだ」「駄目だ、そちらも閉鎖された!」結局、電車で次の公演地ブリストルへ向うしか方法がない事が判明、駅へ向う。無事電車に乗れて7時間かかってブリストルに到着。その後も友人やミュージシャン仲間に助けられて何とか無事にツアーを終え、幸運にも飛行再開の第一便に乗れ、帰国する事ができた。
この想い出深いツアーで、モスクワの『DOM』とリールの『ラ・マルテリー』という会場との出会いが、今回のspaceone立ち上げのきっかけになった。『DOM』、『ラ・マルテリー』ともミュージシャンやアーティスト、リスナーが力を合わせて立ち上げて運営している。そこではミュージシャンの本当にやりたい音楽が、誰に気兼ねすることなく演奏されている。「日本にもこういうスペースあったらいいのにね。」「うん、あったらいいね。」
ヨーロッパにはこういう会場がたくさんある。それは、営利を目的としているクラブとはやり方がちょっと違い、運営はミュージシャンや音楽ファンのボランティアで支えられている。そして、一般的な知名度はあまり高くないが、素晴らしい演奏をしているミュージシャンを数多く呼び、紹介しているのだ。また、その地域の音楽ファンが愛好会のようなグループを作り、自主企画のコンサートを国や市町村の助成を受けて開催していたりもする。アメリカや日本でもそういう形は時折見かけるが、その数ではヨーロッパのほうがはるかに多いようだ。
グローバル化、市場経済、自由競争の今日、不況のあおりも受け、助成は削減され、ヨーロッパでも非商業的な音楽の紹介は激減している。日本でも様々な分野で規制が解除され、自力で競争していく事が奨励され、その代償として「経済的に成功するというのが必然の形」とする社会になってきている。別に自由競争を批判するわけではないが、保護や助成が必要な分野も数多くあると思う。ゴッホは生前、彼の身内しか作品を買ってくれる人はなかったし、ストラヴィンスキーの名作「春の祭典」の初演が全く認められなかったのは有名な話だ。だからといって、これらの作品が残らなかったら、私たちにとって大きな損失になった事だろう。文化は、お金でその価値を計れるものではない。そしてまた、多くの人に認められ、商業的に成功している音楽が、そうではない音楽より劣っているという事も、もちろん言えない。私たちはその多様性で、社会を豊かにしているのを忘れてはいけないと思う。もっと多くの人にテレビやラジオから聞こえてくる音楽以外の音楽も同時代に生きているのを知って欲しい。
一般的には無名だが自分の信じる音楽を表現し続けるミュージシャン達、そしてそれを支えるヨーロッパの理解者達。日本でも同じような形を作れないわけはないと思う。帰国後、日本ツアー中に名古屋でそのアイデアを臼井さんに話したところ、すぐに共感してくれた。その後松本さんとケリーさんに話し、2人とも共感してくれてspaceoneが動き始めた。最もその時は未だspaceoneという名前は付いていなかったが。
spaceoneは、音楽の「形」を提唱するようなアイデアではない。むしろ、形を定めない、その多様性を保つためにやろうとしているスペースだ。実際にそういう空間を物理的に東京に持ちつつ、その価値観やアイデア、ネットワークを表現する者と享受する者とで共有するという理念だ。勿論たくさんの人達に聞いてもらいたいし、夢物語で終わらないために、それを成り立たせるための経済的な骨子も必要になってくる。ひとりじゃできない事がたくさんの人達の気持ちと思いを込めて、実現できる方向に向えばと考えての立ち上げとなった。
2.基本理念 + 基本の案 概要
spaceoneはミュージシャンとリスナーによる、ミュージシャンとリスナーのための、自由な音楽スペースを運営する非営利団体です。
spaceoneは運営するスペースをとおしてミュージシャン、アーティスト、ダンサー、パフォーマー、詩人等表現者の創造性、オリジナリティー、多様性を尊重しバックアップします。また、ミュージシャン同士、リスナー同士、ミュージシャンとリスナーなどの相互コミュニケーションを積極的に推進します。
spaceoneは30人の「キュレーター会員(推薦)」を中心に「ボランティア会員(公募)」 「リスナー会員(公募)」 によって構成されます。
「キュレーター会員」(†)は会費(††)を支払い、月一回それぞれの夜を受け持ち(†††)、スペースをつかって好きなことを企画します。このシステムに従って、スペースでは毎晩異なるキュレーター会員によるイベントが繰り広げられます。内容、チャージ等は受け持ちのキュレーター会員が自由に設定でき、チャージは100%バックです。
また、キュレーター会員は自分の日ではない日の昼間もイベントやリハーサル、レコーディング、レッスン等に利用することができます。
「ボランティア会員」はspaceoneのチラシ配布、翻訳、情報宣伝(web・紙媒体作成)など、さまざまな業務に無償で協力してもらい、スペースには自由に出入りができます。
「リスナー会員」は会費(††††)を支払い、スペースに自由に出入りできます。
† 「キュレーター会員」はミュージシャンやアーティストには限りません。
††月額10,000円を予定しています。
†††たとえば毎月8日は藤井さん、毎月11日は臼井さん、松本さんは毎月25日を受け持つ、等々。2月は30日に満たないため、フェスティヴァルを計画。31日まである月の末日は交流会を計画。
††††月額5,000円を予定しています。
3.「助けてください」
ミュージシャンとリスナーのための自由な音楽スペースを自分たちの手で運営していこうと藤井郷子、田村夏樹、松本健一、臼井康浩、が発起人となり立ち上げた団体「spaceone」は、その夢のスペースの2012年7月オープンをめざし、現在、その場所を東京都内に探し始めました。実際に不動産屋さんをまわり、数軒内見もしてみましたが、初期費用で最低でも300万円程度(※)が必要です。
会員だけでの資金力では追いつきません。
そこで、みなさんのお力を貸して頂けないでしょうか?
(※)…賃貸料坪単価1万円 × 20坪 × 9ヶ月=180万円、開店諸費用120万円とした場合
1. 物件
50平米以上で音出し可能、できれば交通の便が良い所で安価で借りられる物件を探しています。情報をお持ちの方は是非ご一報下さい。
2.寄付
寄附は1000円から受付けます。支障のない限り寄付者名リストをHP上に公開させて頂きます。また、開店後、スペース内に掲示させて頂きます。
このプロジェクトは初期費用全額が集まらなくては、開始が困難です。
2012年5月31日付けで初期費用全額が集まらない場合は、プランの延期あるいは中止等の決定を致します。やむなく中止の際には寄付金全額を返金致します。
送金方法/寄付窓口
paypalまたは振込で受け付けます。送金時にお名前、メールアドレス、お電話番号をお知らせ下さい。ご連絡先が不明な場合、返金ができなくなってしまいます。
Paypal
suika-spaceone@memoad.jp
振込
みずほ銀行 新横浜支店 店番号356
(普)1594235 spaceone
♪ Facebook: http://www.facebook.com/SpaceoneFanPage/
♪ 問合せ先:info@spaceone.org
発起人
藤井郷子
田村夏樹
松本健一
臼井康浩
追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley
:
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣
:
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi
#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報
シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻
音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美
カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子
及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)
オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美
ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)
:
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義
:
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄
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