音の仕掛けに、大いに貢献しているのがアコースティック。空間の残響が、表現したかった事に色濃く関わる。意図的か偶然か、ONとOFFとを使いわけ、マイクの特質を計算づくで利用したミックスと表現である。
トランペットが「かぶり」の音でもメインであり、ドラムスが「かぶり」の多い音でもメインであり、直接音の強烈摩擦音に匹敵する存在感を聞かせるから不思議。
アクセル・ドゥナーは、結果を計算づく、は確かだ。
録音作業で経験する「かぶり」の音の豊かさ、明瞭さは無いが存在感がある、常々感じていた不思議を、表現として真っ正面からやられてしまった。
資料によるとモニターは全くしなかったらしい。残っているのはHDだけ！と、気の強いことが書かれている。
ここまでやるなら、さらに一歩食い込んでマイクのなせる技を、もう一歩仕掛けて欲しかった。ベースの低音域の激震感が物足りない。井野の豪快サウンドがあって、ギターの極太倍音のノイズ等が強調されていたら、私は、大音量で踊りながら聴いただろう。