スティーブ・ドブロゴス/ゴールデン・スランバー〜plays レノン/マッカートニー text by Kimio OIKAWA

ボンバレコード BOM23001 ¥2,415(税込)

スティーヴ・ドブロゴス (p-solo)

1. Goodnight
2. Golden Slumbers ~You Never Give Me Your Money
3. Across the Universe
4. Two of Us
5. Blackbird
6. If I Fell
7. Don't Let Me Down
8. The Long and Winding Road
9. Because
10.I'll Follow the Sun
11.You've Got to Hide Your Love Away
12.I Will

録音:ヤン・エリック・コングスハウク
   @レインボウ・スタジオ、オスロ

レインボー・スタジオとエンジニアのヤン・エリック・コングスハウグとの組み合わせと聞けば、もはや、サウンドの形態の想像は付くと、安易な気持ちでスピーカーに張り付いたのだが、これが身体が震えるほどの衝撃で、また、新しい彼のサウンドを突きつけられたのだった。
いつものコングスハウグらしさに加えて、音の輪郭のエッジが鋭い。
とくに高音部、鍵盤でいえば右手の領域と表現できようか。アタックの表現が、いつもよりさらにハードに聞こえる。それがスティーブ・ドブロゴスの演奏に大きな効果をもたらしているのだ。ポツン、ポツンとした音の発散が、輪郭をしっかり形成して、空間感を潤す。このクールな表現がヤン・エリック・コングハスウグのさらなる挑戦なのだろうか。かつて、コングスハウグの創り出す音を“クリスタル”と表現したことがあったが、これは“雪の結晶”だ。それに、この空間感の表現は、これがスタジオ録音!と、その空間に彷徨う音の質感にもクールさが漂い、リヴァーブ処理技術の隠された技に、相当に嫉妬を覚えた。ホールの残響感に彼は独特の思い入れがあるのではと推察する。
マイクロフォンの選択にも新たな挑戦があったのではないかと思われる。オンマイク独特の音色に、さらに倍音成分に輝きを増した、装飾音がチラリと聴きとれる。デジタル録音システムの成熟期を感じる優秀録音だ。

及川公生:1936年、福岡県生まれ。FM東海(現・FM東京)を経てフリーの録音エンジニアに。ジャスをクラシックのDirect-to-2track録音を中心に、キース・ジャレットや菊地雅章、富樫雅彦、日野皓正、山下和仁などを手がける。2003年度日本音響家協会賞を受賞。現在、音響芸術専門学校講師。著書にCD-ROMブック「及川公生のサウンド・レシピ」(ユニコム)。

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FIVE by FIVE 注目の新譜


NEW1.31 '16

追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley

FIVE by FIVE
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣


COLUMN
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi

#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報 シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻


音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美

カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子

及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)

オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美

ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)

INTERVIEW
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義

CONCERT/LIVE REPORT
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄


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