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#24. ジュリエット・グレコ |
2010年11月20日ロンドン・ジャズ・フェスティバルのクロージング・コンサートのステージはジョリエット・グレコ。2000人の聴衆は83歳のグレコに惜しみない熱い拍手を送り続けた。
そのシャンソンの巨星ジュリエット・グレコが“日本のみなさんに”と題したメッセージ、「ただ、ありがとう、と言いたい。この壊れやすい世界の中で、お手本を示してくださってありがとう。立派な振る舞い、心の美しさ、勇気をありがとう。私は間違っていなかった、長年みなさんを愛してきて。もう一度ありがとう」を携えて、84歳の永遠の歌姫が2011年6月に21回目の来日をして素晴らしい歌を聞かせてくれた。
初来日は1961年。今年でちょうど50年になる。訳詞の字幕つきコンサート。スポットライトに照らしだされた黒ずくめのドレスのグレコは、時にやさしく、ときに激しく手をつきあげ、そしてうつむき、やがて上を見上げ「私は全部おぼえている」を、「マリー橋」を、「アコーディオン」を、「いつかの二人」を、「パリの空の下」等々を休憩なしで約2時間近く歌い続けた。
1949年に米国の「ライフ」誌にサン・ジェルマン・デ・プレのアイドルとしてグラビアに載った。その年に歌手デビューするが、持ち歌のないグレコにサルトルは、「ブラン・マントー通り」の歌詞を贈った。サルトル、サガンをはじめ、写真家のマン・レイはグレコの写真集では彼の技法であるソラリゼーションを用いて表紙を飾っているし、ジャズ・トランペッタ―で小説家のボリス・ビアン、オペラ歌手のルチアーノ・パバロッティ、そして何よりも実存主義の最初の接点は日本でも多くの著作で著名なモーリス・メルロポンティに声を掛けられてからである。長い黒髪をなびかせ黒ずくめの衣装で歌うのがトレードマークでパリ左岸のアーティストのインスピレーションを刺激した。あのマイルス・デイヴィスと結婚したこともあるとも言われている。
多くの映画に出ているが1949年にはジャン・コクトーの「オルフェ」に出演。1970年代以降歌に専念し、自分の気に入った詩だけを歌ってきた。「楽しんで歌えなかったら私は歌いません。とても難しいことです。とにかくすべては私の口の中のことです。誰でも自分で嫌いなものは入れないでしょう。言葉も同じです。」と語っている。
会場はグレコの歌を愛してきた同年代に近いファンで演奏会を楽しむ姿が印象的だった。今秋には全曲新作のアルバムを発表予定。2012年にはパリ・シャトレ劇場でコンサートの予定。「生きているのなら、前を向いて前に行きなさい」を自ら実行する84歳の若さ溢れる素晴らしい歌姫である。
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林 喜代種:東京都日野市在住。80年代初めより現在までクラシック音楽を撮影。一時フォーク・ロック・ジャズ・ 民族音楽も。いま、落語・文楽に興味。(社)日本写真家協会会員
追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley
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#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣
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JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi
#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報
シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻
音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美
カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子
及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)
オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美
ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)
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#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義
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#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄
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