個人的な意識としては、ライヴ演奏とコンサートには特別な違いはない。飲食が伴うか否かぐらいだ。今日では、ジャズなどはもっぱらライヴハウスが主戦場だが、そこで他を圧する感動を体験できた例が今年はあまりなかった。

A：ライヴ編
○ KAZE（9月9日，新宿ピットイン）
○ 野瀬栄進＆武石聡（8月27日、渋谷タカギクラヴィア）
B：コンサート編
○竹田恵子オペラひとりっ切り／キャバレー，パダン・パダン〜私とあたし
（7月4日，四谷区民ホール）
○ 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団・飯守泰次郎指揮（3月17日，東京オペラシティ・コンサートホール）
○ ゴーゴリのハナ／オペラシアターこんにゃく座40周年記念公演（9月14日，俳優座劇場）

　国内ではKAZEと野瀬栄進。前者は田村夏樹・藤井郷子夫妻がフランスでたまたま出会って衝撃を受け、夫妻で招聘したピーター・オリンズ（ds）とクリスチャン・プロヴォスト（tp）と組んでのライヴ。これぞジャズならではのスリリングな出会いと、立ち会う聴く者の喜び。米国で活動するピアニストの野瀬栄進が現地で共演する打楽器奏者の武石聡と組んでの帰国ライヴも新鮮だった。コンサートの方は海外，国内ともに拙稿「食べある記」で紹介したものが大半。触れられるスペースがないので、最後にリストに載せられなかった秀逸コンサートを書き出しておきたい。日本音楽集団『さらに響き合う明日へ』（11月15日，第一生命ホール）の「くるだんど」と「梁塵秘抄」、中彩香能の『箏・三絃リサイタル』（10月3日，銀座・王子ホール）、日本伝統文化振興財団賞歴代受賞者による『古典芸能の夕べ』（5月31日，紀尾井ホール）。悠　雅彦（2011年12月12日・記）