#109. ドゥブラフカ・トムシッチ・スレボトニャク
ピアニスト
2015年6月2日
武蔵野市民文化会館小ホール



知る人ぞ知る「幻のピアニスト」ドゥブラフカ・トムシッチが75歳で初来日を果たした。女流ピアニストである。まずはその略歴から。
彼女は1940年2月6日スロベニア共和国のドゥブロヴニクに生まれる。5歳で初リサイタル。首都リュブリャーナの音楽院でゾラ・ザルニコヴァに師事。1952年クラウディオ・アラウに見出されて、12歳でアメリカに渡り、ジュリアード音楽院に入学。キャサリン・ベーコンに師事。また短期間ながらアレキサンダー・ウニンスキーの指導も受けた。1957年卒業。その後1959年までアルトゥール・ルービンシュタインの薫陶を受けている。1961年フルッチョ・ブゾーニ国際ピアノコンクール第3位入賞。1967年から故国リュブリャーナ音楽院の講師になり、1975年教授に昇格。夫はアイロス・スレボトニャク、息子マルティンはスロベニアの映画監督。2005年リュブリャーナの名誉市民となる。
これまでに4、500回の演奏会、リリースされたリサイタルの録音、オーケストラとの録音は90以上におよびレコーディング・アーティストの地位を確立。
来日のキッカケは「日本に是非紹介したいピアニストがいる」とニューヨークの信頼のおけるエージェントから今回の招聘元に連絡がある。「日本人のある著名指揮者も何度も呼ぼうとしたが、スケジュールが合わないなどいろいろなことで実現しなかった。日本に行ったことがないが、本人も行きたいと言っている」というわけで、資料の音源を聴きその素晴らしさに絶句、日本公演が即決した。
アラウがその才能に驚嘆し、ルービンシュタインが「完璧で奇跡的ピアニスト」と絶賛したドゥブラフカ・トムシッチの期待を裏切らない演奏に心底熱い拍手を送った。演奏曲目はベートーヴェンの『ワルトシュタイン』、ショパンの『幻想曲』、『夜想曲第8番・第9番』、そしてスカルラッティの『ソナタ』集。
女流ピアニストで印象に残るのはスペインのアリシア・ラローチャ、ロシアのタチアナ・ニコライエワ、ドイツのエディット=ピヒト・アクセンフェルト、フランスのアンリエット・ピュイグ=ロジェなどがいる。ここにまた一人スロベニアのドゥブラフカ・トムシッチが加わった。

   

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林 喜代種 Kiyotane Hayashi
東京都日野市在住。80年代初めより現在までクラシック音楽を撮影。一時フォーク・ロック・ジャズ・ 民族音楽も。いま、落語・文楽に興味。(社)日本写真家協会会員。

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