#  このCD2011海外編#05

『Thomas Enhco/The Window and the Rain』
text by 望月由美


ZZJAPLUS/Happinet
HMCJ-1007 3,150円

トーマス・エンコ (p,vln)
クリス・ジェニングス (b)
ニコラス・シャリエ (ds)
ゲスト・アーテイスト:
日野皓正 (tp) on 2,10
仙波清彦 (鼓) on 5、8

1. ラヴ(John Lennon)
2. 枯葉(Joseph Kosma) / feat. 日野皓正
3. ウィンドウ・アンド・レイン(Thomas Enhco)
4. モーニング・ブルース(Thomas Enhco)
5. ユーアー・ジャスト・ア・ゴースト(Thomas Enhco) / feat. 仙波清彦
6. マイ・ロマンス(Richard Rodgers)
7. 朝日のようにさわやかに(Sigmund Romberg)
8. リヤズ(Chris Jennings) / feat. 仙波清彦
9. オープン・ユアー・ドアー(Thomas Enhco)
10.オール・ザ・シングス・ユー・アー (Jerome Kern)/ feat. 日野皓正
11. シェルブールの雨傘(Michel Legrand)

録音:2010年8月30日、31日 2ch ダイレクトDSDレコーディング
スタジオ:ソニーミュージック乃木坂スタジオ 
エンジニア:篠笥 孝 (ソニーミュージック)
プロデューサー:伊藤”88”八十八

奇をてらうこともなく一途に音楽に集中する姿に心ひかれる

 はじめ、昨年行われたソニー・ロリンズの80歳の生誕記念ライヴを記録した『Road Shows Vol.2』(Universal)をと思ったが、トーマス・エンコの9月に行われたライヴでその自由奔放なプレイに接しジャズの新たな芽生えを感じ、ジャズ・マスターよりはニュー・タレントを、との思いで採りあげさせて頂いた。世界中に上手いピアニストが続々と輩出しているが、なかでもフランスを拠点に活躍をしているトーマス・エンコは爽やかで春の息吹を感じさせるフレッシュなピアニストとして目を惹く。まだ22歳、若々しい清新な感覚でジャズの伝統と今起こりつつある新しいことに対してなんの惑いもなく伸び伸びと才知をほとばしらせてゆく姿がアルバム『ウィンドウ・アンド・レイン』に表現されている。この若さでスタンダードは原曲以上に美しく、トーマス自身の書くオリジナルもスタンダード以上に美しいメロディーに満ち溢れていてソング・ライターとしての才能も花開いている。
このアルバムのメインとなるトーマス・エンコ・トリオは洗練された豊かさと艶やかなサウンドで心地よい臨場感を生み出している。そして更にゲストとして日本から日野皓正(tp)と仙波清彦(鼓)を入れアルバムにアクセントを付けているが、トーマス・エンコ・トリオはこのゲストの二人を活性剤にして活き活きとスイングし、理屈抜きにジャズの楽しさを鮮やかなメッセージとして伝えてくれる。トーマス・エンコの奇をてらうこともなく一途に音楽に集中する姿に心ひかれる。これから先どのように変貌し進化してゆくのか大きな期待が持てるしその変化を見守るのもまた楽しい。これからのジャズ・シーンを活性化し、牽引してゆく一人として注目してゆきたい。 (2011年12月、望月由美)

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追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley

FIVE by FIVE
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
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#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣


COLUMN
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi

#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報 シスコ・ブラッドリー
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第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻


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#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子

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CONCERT/LIVE REPORT
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