#  このCD2012海外編#12

『Keith Jarrett Quartet/The Sleeper』
text by 悠 雅彦


ECM/ユニバーサル UCCE - 1132 / 3

キース・ジャレット(p, perc)
ヤン・ガルバレク(ts,ss,fl,perc)
パレ・ダニエルソン(b)
ヨン・クリステンセン(ds,perc)

Disc 1:
1. パーソナル・マウンテンズ
2. イノセンス
3. ソー・テンダー
Disc 2:
1. オアシス
2. チャント・オブ・ザ・ソイル
3. プリズム
4. ニュー・ダンス

録音:ヤン・エリック・コングスハウク@東京・中野サンプラザホール、1979年4月16日
ミキシング:ヤン・エリック・コングスハウク+マンフレート・アイヒャー@レインボウ・スタジオ、オスロ、2012年
プロデューサー:マンフレート・アイヒャー
コンサート制作:鯉沼利成(あいミュージック)
協力:トリオ・レコード/ECM/Bose

 年々CDで音楽を聴く機会も熱意も低下しつつあるように感じて寂しいが、今年はとりわけその感が強かった。たとえば今年、山下達郎や松任谷由美らがこぞって、市場がネットの音楽配信サービスへ移行しつつある流れがとまらないと見越し、バスに乗り遅れるなとばかりに過去のヒット曲等を集めたベスト盤を出したため、CD販売マーケットが活況を呈したことが話題になったが、ソフト市場のこの活況が今後も持続するとは誰も思っていない。ソフト市場が減退しつつある時代の趨勢には変わりがないのだ。この状況は聴き手の熱意も関心をも奪っていきつつあるように感じられて仕方がない。私自身も例外ではないらしく、CDを聴くより生(ライヴ)の音楽を楽しむことにより大きな悦びを見出すようになった。もともと音楽はライヴに限るとの持論を誇り、ライヴ派を自認していたことからいえば、私はどうやら原点に戻ったのだろう。とはいえ、おかげで多種多様な音楽を楽しむ悦びに浸ると同時に、そのため大幅な時間をライヴに費やすことを余儀なくされることになった。そのため、<今年のベスト・ライヴ>の国内篇にあえて4ジャンルのベストワンを選ぶ結果になった。この点をご理解いただきたい。海外篇では、ミンガス・ビッグ・バンド、ジョシュア・レッドマン、及びブラッド・メルドー公演(7月27日、サントリーホール)の3演奏が優劣つけがたく、ここでは前2者を選出しておいた。
 今年は各界でさまざまな巨人たちが鬼籍に入った年だったが、ジャズ界ではベース奏者・是安則克の訃報が私たちの涙を誘った。この忘れがたい優れたベーシストの名をどうしても刻んでおきたい。LIBRA、地底レコード、What’s New及びAKETA’S DISKという甲乙つけがたい4種のCDから、ここではあえて田村夏樹と藤井郷子らのガトー・リブレによる1作を選ぶことにした。海外篇のキース・ジャレット盤について一言。私は元来、いわゆる未発表演奏集を、たとえどれほど優れた内容でも選ぶことには慎重であることをモットーとしてきたが、このキースのヨーロピアン・クァルテットのライヴ演奏(79年4月、中野サンプラザ)にはノックアウトされた。いかにこのころのキースが、またこのクァルテットが並外れたユニットであったかを思い知ったわけで、この感動を選出結果に託した。
 この1年、皆さんありがとう。来る年がいい年でありますように。(悠 雅彦 Masahiko Yuh/2012年12月24日)

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FIVE by FIVE 注目の新譜


NEW1.31 '16

追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley

FIVE by FIVE
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣


COLUMN
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi

#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報 シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻


音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美

カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子

及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)

オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美

ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)

INTERVIEW
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義

CONCERT/LIVE REPORT
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄


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