# このCD2013国内編#05
『竹内直 セラフィナイト』
text by 望月由美
What’s New Records/BounDEE WNCJ-2244 \2,800 |
竹内直カルテット:
竹内直(ts)
片倉真由子(p)
井上陽介(b)
江藤良人(ds)
1. Seraphinite (竹内直)
2. Luiza (A.C.Jobim)
3. Amber (竹内直)
4. I’ve never been in love before (Frank Loesser)
5. Como siento yo(Ruben Gonzalez)
6. Kokiriko (民謡)
録音:2012年7月2日 「モーション・ブルー・ヨコハマ」にてライヴ収録
録音エンジニア:西村光記
マスタリング:佐藤弘
プロデューサー:竹内直
今年の「この一枚」は奇しくも国内盤、海外盤ともにライヴ・アルバム、しかもワン・ホーン・カルテット、そしてそのどちらもパーマネント・グループとなった。日本盤は「竹内直カルテット」、海外盤は「ウェイン・ショーター・カルテット」。
とにかくリリース枚数の多い昨今、様々な顔合わせのCDが多く発表され色彩豊かにはなったが、その分熱気のある作品には中々お目にかかれなくなった。
その点、パーマネント・グループの演奏は日頃のコミュニケーションもとれているし、互いの切磋琢磨もあり、つぼにはまった時にはメッセージに力強さ、熱意が倍加することがあり、歴史的名演が生まれることがある。
竹内直とウェイン・ショーターに共通していることは、自分の音楽を練りに練ってステージに臨むことであり、メンバーや周囲の気配を的確に感じとって、それに反応しながら、やがてはすべてを自分の世界に導いてゆくアプローチの仕方である。
国内盤の『竹内直/セラフィナイト』(What’s New)は「モーション・ブルー・ヨコハマ」での一夜のライヴ収録。竹内直はこの日のレコーディングを予め告知し、そのとおり結果を残した。一回かぎりのライヴで録りきるというのは自己のユニット「竹内直カルテット」が成熟してきていることを実感しての決定であり、自信のあらわれでもあり、潔い。この予告ライヴでの録音では一触即発のフリーもよいが、やはり竹内直カルテットのようなパーマネント・グループが強みを発揮する。
普段のライヴではテナーのほかにバス・クラ、フルートも吹くが、本アルバムではテナー一本に徹し、テナー奏者竹内直を宣言している。
一曲目<セラフィナイト>の冒頭のカデンツア、テナーの無伴奏ソロに今の竹内直のすべてが顕れている。そしてラストの<コキリコ>はグループの愛奏曲。原曲は富山民謡。ゆるやかにテーマを奏でながら徐々に加速し竹内直が燃える。その熱気をさらりとかわし爽快にスイングする片倉真由子、ここぞとシンバルを連打する江藤良人、しっかりと底から支える井上陽介。この4人の凄まじい高揚感こそが竹内直の現場主義の成果である。カルテット結成から17年、現在のメンバーに固定してから2年、いま、最も充実している「竹内直カルテット」が記録されている。(2013年12月6日 望月由美)
追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley
:
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣
:
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi
#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報
シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻
音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美
カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子
及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)
オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美
ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)
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#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義
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#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
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