今年、日本のジャズ界、とくに“前衛”の世界で多大な功績を遺した副島輝人氏が逝った。このアルバムは、副島氏が地底レコードの吉田光利オーナーと組んでリリースを始めたアーカイヴ・シリーズの２作目である。第１作は昨年リリースされた『高柳昌行｜ペーター・コヴァルト｜翠川敬基／即興と衝突〜Encounter and Improvisation』(http://www.jazztokyo.com/five/five899.html)で、どちらも氏の厳しい批評眼で厳選された演奏だけにきわめて純度の高い内容である。このアルバムは日米ミュージシャンのデュオだが、佐藤がイニシアチブを執っていることと国内で制作されたアルバムということで国内編で取り上げさせていただいた。３作目は、冨樫雅彦、スティーヴ・レイシー、加古隆を含むカルテットを予定していたそうだが、志半ばで逝ってしまった。ここはひとつ吉田さんに頑張っていただいて何としても副島氏の遺志を継いでいただきたいものだ。

評文は下記を参照願いたい；
http://www.jazztokyo.com/five/five1103.html
（稲岡邦弥）

稲岡邦弥 Kenny Inaoka
兵庫県伊丹市生まれ。1967年早大政経卒。音楽プロデューサー。著書に『改訂増補版 ECMの真実』編著に『ECM catalog』(以上、河出書房新社)『及川公生のサウンド・レシピ』（ユニコム）共著に『ジャズCDの名盤』（文春新書）。本誌編集顧問。
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