# このCD2014国内編#04
『川嶋哲郎/ラメンテーション〜ライブ・アット東京TUC〜』
text by Keiichi Konishi
現在日本のテナー奏者の中で、心・技・体・理論などどれをとっても最高に充実しているのが川嶋哲郎で、そのアルバム・ライブ共に圧巻の内容を誇っている。その川嶋の最新ライブ作品を今年のベスト作として推薦したい。敬愛していたジャズ・プロデューサー、故横田健生氏(僕の古くからのジャズ仲間の一人でもあった)追悼ライブを、自身のカルテットで“東京TUC”(2013年12月)で実施したが、それを2枚組に纏めたもので、曲は川嶋が横田氏と共に作った『祈り』『哀歌』のレパートリーが中心。この2枚共に期せずしてオード的色合いも濃いものだけに、タイトル曲や<哀歌>、シューベルトとカッティーニの2曲の<アベマリア>等々、このトリビュート・ライブにピッタリの曲目が並ぶ。このライブの2か月ほど前に、”横田氏を偲ぶ会”が新橋のジャズ・スポットで開かれ、そこで川嶋が彼を偲んでソロ演奏をしたのだが、これが感涙ものの絶品だった。このソロが契機で、自身のカルテットでのトリビュート・ライブに発展した訳だが、「川嶋哲郎と言う音楽家をプロデュースできたことが、人生の誇りだ」と故横田氏は語っていたと聞く。川嶋もその想いを受け、心に沁みる珠玉の追悼歌を静かな熱情の炎を燃やし奏で上げる。「こんなライブはやったことが無い。正直な自分が形になった。人生に残る素晴らしい経験だ」と彼は語っているが、煙草好きの横田氏に捧げた<スモーク・オブ・ピース>等も、2人の関係を窺わせ泣かされる。ぼくの本職はラジオ・プロデューサー。川嶋〜横田、この2人の熱く深い信頼関係に、少なからぬ嫉妬の念を燃やしてしまう程の出来栄え。川嶋君 有難う!(小西啓一)
小西啓一 Keiichi Konishi
ジャズ・ライター/ラジオ・プロデューサー。本職はラジオのプロデューサーで、ジャズ番組からドラマ、ドキュメンタリー、スポーツ、経済など幅広く担当、傍らスイング・ジャーナル、ジャズ・ジャパン、ジャズ・ライフ誌などのレビューを長年担当するジャズ・ライターでもある。好きなのはラテン・ジャズ、好きなミュージシャンはアマディート・バルデス、ヘンリー・スレッギル、川嶋哲郎、ベッカ・スティーブンス等々。
追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley
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#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣
:
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi
#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報
シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻
音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美
カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子
及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)
オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美
ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)
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#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義
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#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄
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