#  このCD2014国内編#07

『西村知恵/マイ・アイデアル』
text by Seiichi Sugita


en records
\2000(税込)

西村知恵(vocal)
高瀬龍一(trumpet)
大山日出男(altosax)
続木徹(piano)
高瀬裕(bass)
小山太郎(drums)

1. Left alone
2. Just Friends
3. The boy from Ipanema
4. Lullaby of birdland
5. It never entered my mind
6. My ideal
7. I can’t give you anything but love
8. Yesterdays
9. Stella by starlight
10. It’s all right with me
11. The very thought of you
12. My one and only love

All arrangements by Ryuichi Takase
Produced by Chie Nishimura
http://www1.m.jcnnet.jp/chienishimura/

 三茶「ウィスパー」で、西村知恵と出会う。もうライブは終了していたのだけれども、1曲だけお願いする。知恵は嫌な顔ひとつせず、ぼくの目の前、1m弱で<サマータイム>を素(す)で歌う。まるでニュートリノのようにぼくの肉体を突き抜ける肉声。凄い!リロイ・ジョーンズがいうところのブルース・インパルス=衝動がアクチュアルにある。こんな出会いが、日本であるなんて、ほとんど奇跡にちかいこと。
 中村とうようの言を借りれば、西村知恵はホンモノのジャズ・シンガーである。巷をにぎわしているシンガー・オブ・ジャズたちとは、きっぱりと一線を画している。日本人ジャズ・ボーカルはどうもいただけない、とお嘆きの諸君、もうジャズ・シンガーもどきにうつつをぬかさなくて済みますよ。
 西村知恵のファースト・アルバム『マイ・アイデアル』(en)は、発売1ヶ月ではやくも、1000枚を完売。5,000枚も時間の問題である。まず1曲目に<レフト・アローン>がある。日本でしかもてはやされないシーンへの訣別からスタートするのだ。凛とした、わきあがる情動性のコントロールには、言葉を失ってしまう。ブルースの、ジャズの、「真髄」がさわやかに存在するではないか。ぜひ、白紙の状態で耳を傾けていただきたい。鹿児島の中山信一郎氏とともに、声を大にします。
 全編編曲は、トランペットの高瀬龍一。少なくともぼくは戦後69年にしてone&onlyの日本人ジャズ・シンガーと出会う。
 西村知恵は、鹿児島生まれ。エラを母、サッチモを父、パーカーを真友として育つ。中山氏のバック・アップを得て、九州を席巻。上京後は、LAで確かな手応えを実感し、万を持して『マイ・アイデアル』を発表。たちまち知る人ぞ知るジャズ・シンガーに。
 Bitches Brew for hipsters only(横浜)は、西村知恵が毎月出演している数少ない場のひとつである。(杉田誠一)

杉田誠一 Seiichi Sugita
1945年4月新潟県新発田市生まれ。獨協大学卒。1965年5月月刊『ジャズ』、1999年11月『Out there』をそれぞれ創刊。2006年12月横浜市白楽にカフェ・バー「Bitches Brew for hipsters only」を開く。著書に、『ジャズ幻視行』『ジャズ&ジャズ』『ぼくのジャズ感情旅行』他。

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FIVE by FIVE 注目の新譜


NEW1.31 '16

追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley

FIVE by FIVE
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣


COLUMN
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi

#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報 シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻


音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美

カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子

及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)

オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美

ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)

INTERVIEW
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義

CONCERT/LIVE REPORT
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄


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