#  このCD2014海外編#03

『Ornette Coleman Quartet / Reunion 1990』
text by Kenny Inaoka


Domino Jazz 2010

Ornette Coleman (alto sax)
Don Cherry (cornet)
Charlie Haden (bass)
Billy Higgins (drums)

Disc 1:
1 Telescope 4:54
2 Him And Her 8:30
3 Buckminster Fuller 7:38
4 Magic 8:36
5 Dancing Flower 6:35
6 If You Could See My Eyes 9:36
7 Spelling The Alphabet 7:53

Disc 2:
1 Word For Bird 8: 6
2 Latin Genetics 12:34
3 Singing In The Shower 10:05
4 Lonely Woman 12:21
5 The Sphinx 5:46

All composed by Ornette Coleman

録音:Teatro Municipale Valli, Reggio Emilia, Italy, April 24, 1990

足の便の悪いところに住んでいる割には出かけることが多く、スマホに仕組んだ万歩計が1万歩を越すことも珍しくはない。東日本大震災以来節電が続いており電車やバスの照明が間引きされ読書が容易ではなくなった。次男からもらった電子ブックを重宝していたのだが(青空文庫という無料で読めるライブラリーからダウンロードした山頭火の「四国遍路日記」は大いに楽しめた)いつのまにか見当たらなくなった。仕方なく、iPhoneに新旧のCDを詰め込んでイヤフォンで聴いている。そんななかで今年いちばん聴く機会が多かったのがこのアルバムだ。オーネット・コールマンの『Shape of Jazz to Come』(来たるべきジャズの姿、Atlantic)が1959年10月に発表されて以来30年を迎えた1990年4月、イタリア北部レッジョ・ネレミリア市の市民ホールで行われたコンサートを完全収録したもの。ネレミリア市ではこのとき「ポートレート・オブ・ジ・アーティスト」と題するイベントで3日間にわたってオーネットをフィーチャーし、このカルテットの他に、チェンバー・ミュージックとシンフォニックな<スカイズ・オブ・アメリカ>を演奏する機会を用意したという。さすがはイタリアである。<ロンリー・ウーマン>のベースのイントロで沸いた聴衆がオーネットがサービスで挿入した<オーソレミオ>にはまるで反応しない。前になり後になりもつれ合いながらテーマを吹くオーネットとドンは相変わらずだし、腹に応えるチャーリーのベース、切れ味鋭いビリーのドラムス、30年間のキャリアがさらに彼らの音楽を深め、楽しいものにした。聴くたびに発見する新しい楽しみが堪えられないのだ。御大オーネット以外は鬼籍に入ったこのカルテットは間違いなくコルトレーンのカルテットに匹敵する。残念なのはネットをサーチしていてこのアルバムがどうやら海賊盤であるらしいことが分かったことだ。ブックレットの最初のページでオーネットにジャズ・ミュージシャンの不遇を語らせている。皮肉というかアテツケというか確信犯だとしたら断じて許される行為ではない。(稲岡邦弥)

稲岡邦弥 Kenny Inaoka
兵庫県伊丹市生まれ。1967年早大政経卒。音楽プロデューサー。著書に『改訂増補版 ECMの真実』編著に『ECM catalog』(以上、河出書房新社)『及川公生のサウンド・レシピ』(ユニコム)共著に『ジャズCDの名盤』(文春新書)。 Jazz Tokyo編集顧問。

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COLUMN
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・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報 シスコ・ブラッドリー
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