# このCD2014海外編#10
『Mark Turner/Lathe of Heaven』
text by Masanori Tada
ECM2357 | ![]() |
Mark Turner (ts)
Avishai Cohen (tp)
Joe Martin (db)
Marcus Gilmore (ds)
1.Lathe of Heaven
2.Year of the Rabbit
3.Ethan's Line
4.The Edenist
5.Sonnet for Stevie
6.Brother Sister 2
Recorded by James A.Farber at Avatar Studios, NYC, June 2013
Assistant engineer: Akihiro Nishimura
Mixed by James A.Farber, Manfred Eicher and Mark Turner, January 2014
Produced by Manfred Eicher
剛力彩芽似の双子が、ECM喫茶で検索して月光茶房に来店したという、原田正夫が30センチ宙に浮いていたとちひろさんが眼差していた、そんな光景が、即興とコンポジションの視野だけで拓かれたECMレーベルの45年を照らしている進行形、ECMの謎は今も解けないでいる、「あなたのことがもっと知りたい」、音楽に駆られてどこへ行くのだろうか。
ECMの2014年は、『Lathe of Heaven(天のろくろ)(http://www.jazztokyo.com/five/five1132.html)』によってマーク・ターナー(シーンでピカイチのサックス奏者)の可能性を改めて世に知らしめた年だったと言える。前年に「ジャズ史の潮目の変化を痛快にドキュメントし始めた」と言うべきトーマス・モーガン(シーンでピカイチのベース奏者)の集中リリースに次ぐセカンドインパクトである。
今年のマーク・ターナーは『ステファノ・ボラーニ・トリオ/ジョイ・イン・スパイト・オブ・エヴリシング(http://www.jazztokyo.com/five/five1141.html)』(ECM)やトム・ハレル盤(http://www.jazztokyo.com/five/five1145.html)でも遺憾なく大物ぶりを示していたこともあった。
マーク・ターナーのダウンビートの読者投票(画像)では11位なのだね、だけどぼくの耳の測定では1位のクリス・ポッターとのツートップであることや、この二人のことを故マイケル・ブレッカーがジャズ史のバトンが渡った二人であることを早くに明言していたことは、これまでも書いたっけ。
From Facebook by Chris Potter. Downbeat Readers’Poll 2014
https://www.facebook.com/chrispottermusic/photos/a.10151615300496969.1073741827.79298116968/10152495854121969/?type=1&theater
ターナーのセカンドインパクトをどう記述するかという点では、やはり重力とか空間性といったジャズを記すのにあまり使われない語を優先的にあてないと伝わらないとは考えている。そこから先がうまく説明が進まない。
今年のタワーレコードの無料冊子『イントキシケイト』の表紙が、キース・ジャレット、チャールズ・ロイド、そしてこのマーク・ターナー・カルテット、と、特にその号に大きな記事が無いにもかかわらず採用されていることに、何らかの兆候を受信している。編集長の高見一樹さんの判断だろう。高見さんはECMの新譜群に対して、限られたスペースであるけれど光るウォッチャーぶりでレポートし続けている。
Manfred Eicher in conversation: Mark Turner's "Lathe of Heaven" (ECM Podcast Vol. 2)
https://www.youtube.com/watch?v=doZ2Sl6bDs8
年間ベストの選出に際して、メアリー・ハルヴァーソンのグループ「リヴァース・ブルー」の待望の新譜、これはクリス・スピード、アイヴィン・オプスヴィーク、トーマス・フジワラという新しくて魅惑的で変態的に素晴らしいラインナップ、これを挙げたいとも考えていた。バロック音楽を聴く愉しみを導入させて、この不思議なフレイバに漂う。ふふふ、クリス・スピードのサックスと、マーク・ターナーのサックスは、明らかに同じ起源から歩み出している。この二人の響きは同じ彼方を目指している。
ジャズ評論家益子博之と現代ジャズ・シーンのカッティグ・エッジを聴くイベント、『益子博之×多田雅範=四谷音盤茶会 vol. 16(通称:タダマス)』では、2014年間ベストも発表されます。ゲストは西山瞳さん。よろしくお願いします。
http://gekkasha.modalbeats.com/?eid=954584
(多田雅範)
多田雅範 Masanori Tada / Niseko-Rossy Pi-Pikoe。
1961年、北海道の炭鉱の町に生まれる。東京学芸大学数学科卒。元ECMファンクラブ会長。音楽誌『Out There』の編集に携わる。音楽サイトmusicircusを堀内宏公と主宰。音楽日記Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review。本誌副編集長。
追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley
:
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣
:
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi
#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報
シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻
音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美
カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子
及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)
オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美
ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)
:
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義
:
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄
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