# このライブ/このコンサート2014海外編#06
『Alexander von Schlippenbach - Aki Takase/So Long, Eric!〜Homage to Eric Dolphy』
June 19 & 20, 2014 @Kleiner Sendesaal des RBB in Berlin
text by 横井一江 (Kazue Yokoi)
Alexander von Schlippenbach(p,arr)
Aki Takase(p,arr)
Karl Berger(vib)
Rudi Mahall(bcl, cl)
Tobias Delius(ts)
Henrik Walsdorff(as)
Axel Dörner(tp)
Nils Wogram(tb)
Wilbert de Joode(b)
Antonio Borghini(b)
Han Bennink(ds)
Heinrich Kobberling(ds)
1964年6月29日、エリック・ドルフィーがベルリンで客死してから今年で50年。そのベルリンで6月19日20日、芸術監督アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ、音楽監督高瀬アキによって「ソー・ロング、エリック!」と題したコンサートが行われるというの出かけた。(註:19日は公開リハーサル)
アメリカでも、それに先立つ5月30日31日にニュージャージーのモントクレア州立大学で「エリック・ドルフィー:フリーダム・オブ・サウンド」と題したフェスティヴァルが行われ、リチャード・ディヴィス、グラチャン・モンカー3世、アンドリュー・シリル、ヘンリー・スレッギル、オリヴァー・レイク、ドン・バイロン、フェローン・アクラフ等が演奏、またガンサー・シュラー、ジョン・F・スウェッドなどを迎えてシンポジウムも開催されている。
おそらく他にもイベントが行われたと想像するが、「ソー・ロング、エリック!」に特に興味を持った最大の理由は、エリック・ドルフィーが遺した「作品」に着目した企画だったからである。この発想自体、80年代後半から90年代にかけてベルリン・コンテンポラリー・ジャズ・オーケストラを率い、作曲作品に即興演奏を取り込んでいかに展開させていくか、その可能性を追求した二人、ヨーロッパ・フリーのパイオニアであるシュリッペンバッハと、今やヨーロッパを代表するピアニストであり、作編曲面でも才媛ぶりを発揮してきた高瀬ならではのものであり、半世紀後のベルリンからドルフィーへの音楽的な返礼だからである。
「ソー・ロング・エリック」というプロジェクト自体は継続し、ベルリンジャズ祭などで再演されているが、メンバーが異なったり、縮小版だったりする。私がとりわけ、このコンサートにこだわって、わざわざベルリンまで出かけたのは、ドルフィーの最後の共演者となったカール・ベルガーとかの有名な『ラスト・デイト』に参加したハン・ベニンクが加わったメンバー構成だったからかもしれない。そういう意味でも「特別」だったのである。
なおCD『Alexander von Schlippenbach - Aki Takase/So Long, Eric!〜Homage to Eric Dolphy』(Intakt)は、この時のライヴ録音である。
関連ページ
Reflection of Music Vol.35 アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ
http://www.jazztokyo.com/column/reflection/v35_index.html
Reflection of Music Vol.36 カール・ベルガー
http://www.jazztokyo.com/column/reflection/v36_index.html
Five by Five #1163
http://www.jazztokyo.com/five/five1162.html
横井一江 Kazue Yokoi
北海道帯広市生まれ。The Jazz Journalist Association会員。音楽専門誌等に執筆、 雑誌・CD等に写真を提供。海外レポート、ヨーロッパの重鎮達の多くをはじめ、若手までインタビューを数多く手がける。 フェリス女子学院大学音楽学部非常勤講師「音楽情報論」(2002年〜2004年)。著書に『アヴァンギャルド・ジャズ―ヨーロッパ・フリーの軌跡』(未知谷)。趣味は料理。本誌編集長。
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