# このCD2015国内編#06
『狭間美帆/タイム・リヴァー』
『桑原あいトリオ・プロジェクト/Love Theme』
text by 小西啓一 Keiichi Konishi
『狭間美帆/タイム・リヴァー』 Universal Music |
m_unit:
挾間美帆(cond,p on 6 & 7)
ギル・ゴールドスタイン(acc,on 3)
ジョシュア・レッドマン(ss & ts,on 8)
キャム・コリンズ(as,cl)
庵原良司(ts,ss,fl)
アンドリュー・グタウスカス(bs,b-cl)
マシュー・ジョドレル(tp,fl-h)
アダム・アンズワース(hrn)
ジョイス・ハマン、サラ・キャズウェル(vn)
ロイス・マーティン(va)
メーガン・バーク(vc)
ジェイムス・シップ(vib)
サム・ハリス、アレックス・ブラウン(p)
サム・アニング(b)
ジェイク・ゴールドバス(ds)
1. アーバン・レジェンド
2. シティスケープ
3. 月ヲ見テ君ヲ想フ
4. ディジー・ディジー・ワイルドフラワー
5. オルタネイト・ユニヴァース、ワズ・ザット・リアル?
6. イントロダクション
7. フーガ
8. タイム・リヴァー
9. マグダレーナ
『桑原あいトリオ・プロジェクト/Love Theme』 ewe |
桑原あい(p)
森田悠介(el-b)
須川崇志(db)
石若 駿(ds)
1. Amapola -Deborah’s Theme (from“Once Upon A Time In America”)
2. Here There And Everywhere
3. Finale (Tango Apasionado)
4. In Your Own Sweet Way
5. Nomad
6. Barry Lyndon (Love Theme) (from“Barry Lyndon”)
7. 21st Century Schizoid Man
8. Peace
9. Grandfather’s Waltz
10. A Journey To Reedham
今年の国内関連アルバムでは最近の女性陣の奮闘ぶりを写した様に、挟間美帆・桑原あいと言った注目の実力派若手2人のアルバムが印象深かった。2人ともまだ20代(の筈)だが、今年の作品でその音世界を広く深く伸長させ、更なる表現の高みに達しその成熟振りをはっきりと窺わせてくれた。山下洋輔にその才を見出され、デビュー作で“出光音楽賞”を獲得と言う実力派シンデレラ・ガール、挟間美帆の3年振りになる『タイム・リバー』は、前作同様13人編成のラージ・ジャズ・アンサンブル作品。ジョシュア・レッドマンなどもゲスト参加したこのアルバムは、殆どが彼女のオリジナルで、華麗にしてポップなその音宇宙は、ワールド・ワイドな注目を集めるべき秀作。
一方桑原の方はトリオ作で、気鋭のドラマー石若駿が新参加。これまでの若さとスピード感一辺倒のプレーから、ジャズの歴史も踏まえ直し、その表現にはより一層の深みと凄みが付け加えられ、その習熟度は感嘆すべきものとなった。
今年の1枚にこの桑原を選んだのは、久々にプロデューサーの重要性を認識させられたため。伊藤潔、40年来のぼくの知己にして、サダオさんやプーさん等J-ジャズ勃興期の秀作(“sony”)を弱冠20代半ばで数多く世に送り出してきた男。彼のプロデュースで選曲や表現方式などアルバムに深みと幅を出させることに成功、桑原も表現者として一皮剥けた感もある。特に冒頭の<アマポーラ〜デボラのテーマ(<ワンス・アポンナ・タイム・イン・アメリカ>)>の圧巻とも言える素晴らしさ。演奏者とプロデューサーの素敵な邂逅と聴いた。
小西啓一 Keiichi Konishi
ジャズ・ライター/ラジオ・プロデューサー。本職はラジオのプロデューサーで、ジャズ番組からドラマ、ドキュメンタリー、スポーツ、経済など幅広く担当、傍らスイング・ジャーナル、ジャズ・ジャパン、ジャズ・ライフ誌などのレビューを長年担当するジャズ・ライターでもある。好きなのはラテン・ジャズ、好きなミュージシャンはアマディート・バルデス、ヘンリー・スレッギル、川嶋哲郎、ベッカ・スティーブンス等々。
追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley
:
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣
:
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi
#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報
シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻
音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美
カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子
及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)
オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美
ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)
:
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義
:
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄
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