#  このCD2015国内編#07

『エブリシング・アイ・ラヴ/辛島文雄ピアノソロ』
text by Yumi Mochizuki 望月由美


PIT INN MUSIC INC PILM-0004 2,500円+税

辛島文雄(Piano)

1.Everything I Love(C.Porter)
2.The Girl From Ipanema(A.C.Jobim)
3.Solitaire(K.Guion)
4.Brilliant Darkness(辛島文雄)
5.My Foolish Heart(V.Young)
6.Recorda Me(J.Henderson)
7.Late Autumn(辛島文雄)
8.How My Heart Sings(E.Zindars)
9.Malaika(Traditional)
10.Toys (H.Hancock)
11.What Are You Doing the Rest of Your Life(M.Legrand)
12.I Thought About You(J.V.Heusen)

録音:2014年7月3日、4日 沖縄市民小劇場 あしびな〜にて録
エンジニア:菊地昭紀 (ピットインミュージック)
プロデューサー:辛島文雄、品川之朗(ピットインミュージック)
エグゼクティヴ・プロデューサー:佐藤良武 (ピットインミュージック)

これまでにたびたび演奏で訪れていた沖縄の沖縄市民小劇場「あしびな〜」というホールの空気、そして音の響きを大変気に入っていた辛島文雄は2014年4月、自己のピアノ・トリオ作『A Time for Love』(ピットインミュージック)を当ホールで録音した際、次はぜひともここでソロ・ピアノのアルバムを録りたい、という思いに駆られたといい即断即決でスケジュールを調整し、その3か月後に本アルバムのレコーデイングが実現した。

アルバムには辛島がジャズを聴き始めたころ一番初めに探究したというビル・エヴァンスの愛奏曲が4曲とりあげられているのが印象的である。<My Foolish Heart ><How My Heart Sings><What Are You Doing the Rest of Your Life>、とりわけアルバム・タイトルの<Everything I Love>には青春の甘さと50年と云う年輪の重厚さとが重なり合ってエヴァンスと辛島の間の音の架け橋が見事に描かれている。また、自作の<Brilliant Darkness>では格調の高い、力強いタッチの中から辛島文雄の世界観が艶やかな甘い香りをともなって浮かび上がる。

雑誌「オーディオ・アクセサリー」や「analog」を発行している音元出版が、現在、辛島文雄のこれまでにピットインミュージックが発表した3枚のアルバム『Summertime』、『A Time for Love』そして『Everything I Love』の音源から各2曲ずつセレクトしてLPレコードとし『辛島文雄が綴る感謝の想い、ピアニスト辛島文雄のアイ・ラヴ…』と云うタイトルで限定リリースする作業に入っているという。アナログで辛島が聴けるというのはビッグ・ニュースである。今年で50周年を迎えた新宿ピットインの記念コンサート「新宿ジャズ・フェスティバル」の会場でそのLPがお披露目される予定。

今年、辛島は自己のホームページにガンという病に向き合うことになったことを自ら告知し、病と闘いながら果敢に演奏活動を続けている。 ジャズへの想い、演奏への意欲、そしてなによりも辛島の強靭な精神力が病の増殖を止めているのである。

アルバム『エブリシング・アイ・ラヴ/辛島文雄ピアノソロ』からはそんな辛島文雄のナイーブな感性が程よい緊張感をともなって伝わり、辛島文雄の自画像が理想的なソロ・ピアノ集と云うかたちで描かれていて、モンクの『Thelonious himself』(RIVERSIDE)やエヴァンスの『alone』(VERVE)と並ぶ私の愛聴盤となったことから今年のこの一枚に選出させて頂いた。

望月由美 Yumi Mochizuki
FM番組の企画・構成・DJと並行し1988年までスイングジャーナル誌、ジャズ・ワールド誌などにレギュラー執筆。 フォトグラファー、音楽プロデューサー。自己のレーベル「Yumi's Alley」主宰。『渋谷 毅/エッセンシャル・エリントン』でSJ誌のジャズ・ディスク大賞<日本ジャズ賞>受賞。

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