#  このCD2015国内編#10

『JUST OFF/House Of Wasps ハウス・オブ・ワスプス』
text by Shinji Tamai 玉井新二


MYRD-82

トリスタン・ホンジンガー(composer,cello,voice,words,clap)
向島ゆり子(violin,voice,vocal,clap)
千野秀一(piano)
瀬尾高志(contrabass)

1. Travel with Yoshi and Mildred Alaska Rapids〜Black Hills in Dakotas〜Hawaii
2. Harias Aria
3. Setagaya-ku(Night,Bright,Light)suite“The house of wasps”
4. Ace of wasps
5. Queen of wasps
6. Jack of wasps
7. Conduction
8. 9 of wasps
9. 6 of wasps〜5 of wasps
10. Unagi

録音:2014年8月25日サウンドスタジオノア/26日横浜エアジン/27日稲毛CANDY/28日入谷なってるハウス
recording & mixing:須藤 力(モルグ社)

魂の魔術師

このカルテット(JUST OFF)を初めて聴いたのは2014年8月下旬、浅草の「なってるハウス」だった。とても楽しい演奏だったが、その日を含めて日本での公演が3回だけ…もったいないなと思っていた。そのライブがこのCDに収録されているというので、本当にうれしかった。
トリスタンはこれまで何度も来日し、いろいろなミュージシャンと演奏してきたが、なんといっても信頼に厚いのは向島ゆり子さん、もう10年以上前からのつきあいだという。千野さんとは現在、同じベルリンを本拠に活動している同士。ベースの瀬尾さんとは2013年秋の北海道ツアーの時からだ。
そして、このJUST OFFグループは2015年8月23日から9月11日まで、ドイツ、オランダ、英国とヨーロッパツアーを行い好評を得て帰国したのだった。
トリスタンはこれまで、Company(英)やGlobe Unity(独)、そして現在はICP(蘭)と、ヨーロッパ・フリージャズ・シーンの中核で活動してきた猛者。しかしそのスタイルは、いわゆるオールフリーにみられがちなガチガチの緊張感に陥らない、自由気ままにうつろう心象風景を軽妙洒脱に展開する。
このCDでも、2.や4.に見られる甘くただよう哀愁のメロディー、10.のブルース調のヴォーカルなどがあるかと思うと、次の瞬間にはフリーインプロ、さらにコミカルな表情が、そして詩の朗読や突然のパフォーマンス(CDではわからないが)と、ひとつの曲の中にも、CD全体を通しても、緊張と弛緩が巧みに仕組まれている。
こうしたトリスタンのコンポーズには、彼自身あるいは各メンバーのナイーブな内面の動きを誘い出し、変幻自在に放出させるカラクリが仕組まれている。奏者も聴き手もまるで彼の「魔術」にかけられたように、いつのまにか魂を開放されて、身も心も軽くなるように感じるのだ。

玉井新二 Shinji Tamai
北海道札幌市生まれ。法政大卒。「ニュージャズホール」のスタッフとして『off jazz』誌創刊(70年)、『JAZZ批評』誌編集(71〜79年)、同時に「Project21」としてコンサートの企画・公演(高柳昌行、富樫雅彦、加古隆など)に参加。その後、ジャズ界から離れるが、最近、ライブ会場等に出没。

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