# このライブ/このコンサート2015国内編#07
『ブロッツ&サブ2DAYS ゲスト:近藤等則at 新宿ピットイン』
2015年4月18日(土) 新宿ピットイン
text by Yumi Mochizuki 望月由美
近藤等則(tp) 豊住芳三郎(ds) ペーター・ブロッツマン(ts)
近藤等則(tp)
ペーター・ブロッツマン(cl)
ペーター・ブロッツマン(reeds)
SABU豊住芳三郎(ds)
ゲスト:近藤等則(el-tp)
ブロッツマンは毎年来日していて日本にはすっかり溶け込んでいる人なので邦人の部で登場して頂くこととした。
今年は新宿ピットインが50周年にあたり、毎月これぞピットインという記念プログラムを組んで提供してくれているが4月には「ブロッツ&サブ 2DAYS」と銘打ったセットが組まれ、その初日のセットが近藤等則をゲストに迎えたプログラムであった。ブロッツマン74歳、サブ71歳、近藤66歳、平均すると70歳という年輪を感じさせるフリーの3人組である。
開演前にブロッツマンにひとこと再会の挨拶を交わした際には人の良い好々爺と云う感じでほんの一回り身体が小さくなったかなという感じがしたが、ひとたびステージに上がるやすっくと仁王立ち、身体もぐっと大きくなり、サックスからは煙が立ち上るほどの轟音がとどろき渡り、一音のもつ重みを想いおこさせてくれた。やはりブロッツのフリーは気持ちがよい。
サブ豊住も昔からブロッツマンと仲が良く、今年はこの日本ツアーのほか10月にはブロッツマンと中国でも演奏している仲であり、気心知れたフリーの友との共演とあって持ち前の即興のマグマを噴出させブロッツとの音の会話を楽しんでいた。サブのタイコはいつも明るくてハピーだ。
根っからのコスモポリタンのサブ豊住は海外にいると元気になるという。来年もすでに5月にオーストリアに楽旅し、7月には日本に戻ってブロッツとのセット、10月にはやはりブロッツとの中国のジャズ・フェスティヴァルへの出演が予定されていて、サブの自由気ままに世界を旅するという生き方そのものがフリーである。サブもブロッツとの再会で存分にフリーを楽しんでいて見ているものもフリーになれた。
近藤等則もピットインは久しぶり、きれいにカールした髪には白いものが混じりちょっぴり貫録を増した。エレクトリック・トランペットでの演奏で、なにやらコンソールの操作盤を操作しながらの演奏であったが出てくる音はアコースティック主体で美しく、昔ながらに朗々とラッパを鳴らし元気な姿を見せてくれた。近藤はひとりでスタンダードを吹いて録音したという新作『Toshinori Kondo plays Standards あなたは恋を知らない』をその場で先行販売し、あわせて最近の状況を音で示してくれた。近藤もブロッツとは1982年にICPを招聘した頃からの旧知の仲、ブロッツとのストレート・アヘッドなソロの応酬を繰り広げ、エレクトリック近藤を予測していた観客を見事に裏切ってくれた。嬉しい限りである。
ペーター・ブロッツマンを中心にサブ=ブロッツ=近藤と云う思いかけない邂逅に久しぶりにフリーの真髄にふれた思いになれた一夜だったのでこのライヴに選ばせて頂いた。
望月由美 Yumi Mochizuki
FM番組の企画・構成・DJと並行し1988年までスイングジャーナル誌、ジャズ・ワールド誌などにレギュラー執筆。 フォトグラファー、音楽プロデューサー。自己のレーベル「Yumi's Alley」主宰。『渋谷 毅/エッセンシャル・エリントン』でSJ誌のジャズ・ディスク大賞<日本ジャズ賞>受賞。
追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley
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#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
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#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣
:
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
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#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報
シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻
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#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子
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オスロに学ぶ
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