#  このCD2015海外編#03

『Jason Kahn, Patrick Farmer, Sarah Hughes, Dominic Lash/Untitled for Four』
text by Narushi Hosoda 細田成嗣


Cathnor Recordings

Jason Kahn (Composition, Analog Synthesizer, Mixing Board, Radio)
Patrick Farmer (CD Players, Prepared Loudspeakers)
Sarah Hughes (Zither, Piano)
Dominic Lash (Double Bass)

1. Untitled for four Version 1
2. Untitled for four Version 2

Recorded February 13, 2012
Oxford, United Kingdom
2 disc CD-R release in wraparound card sleeves and envelope

おもにヴァンデルヴァイザー楽派の作曲作品を取り上げてリアライズしていくイギリスの即興演奏家集団「セット・アンサンブル」に所属する三人が、スイス在住の音楽家ジェイソン・カーンとともに、カーンが作曲した作品を四人で演奏したものを収めたアルバムである。カーンによる図形楽譜を参照してみると、それぞれのパートに四人の名前が記載されているので、とくにこの四人のために作曲されたものと思われる。ジョン・ケージ流に厳格に定められた一時間という枠組みのなかで行われた演奏が、二セット、二枚組のCD-Rにそれぞれ収められている。正確な時間測定のもとで、同じ図形楽譜を用いながら行われた演奏が、たしかに楽譜によって構造化されていながら、こうも異なる二種類の音楽を生み出したことには驚嘆を覚える。ふたつの演奏を聴くことはさらに、同じ図像を同じ視覚が捉えながら、どのように異なる(あるいは同様の)音響表現に持ち込むかということが、演奏家の特質を炙り出す。イギリス即興音楽の新たなシーンをかたちづくりつつある若い三人の音楽家の、演奏家としての資質を明るみに出した記念碑的なアルバムであるともいえる。

細田成嗣 Narushi Hosoda
1989年、埼玉県生まれ。2013年よりWeb雑誌ele-kingにCD評などを執筆。『プログレッシヴ・ジャズ』『ジム・オルーク完全読本』等に寄稿。

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COLUMN
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