#  このCD2015海外編#05

『Keith Jarrett Samuel Barbar / Bela Bartók / Keith Jarrett』
『キース・ジャレット/バーバー:ピアノ協奏曲、バルトーク:ピアノ協奏曲第3番』
『Tigran Hamasyan / Luys I Luso』
text by Hideo Kanno 神野秀雄


ECM New Series 2445
ユニバーサル クラシックス&ジャズ UCCE-2089

Keith Jarrett (Piano)
Samuel Barber: Piano Concerto op. 38
Bela Bartók: Piano Concerto No. 3
Keith Jarrett: Nothing But The Truth (Tokyo Encore)

「Tokyo Music Joy 1985」での、キース・ジャレットのピアノ、秋山和慶指揮、新日本フィルハーモニー交響楽団によるバルトーク<ピアノ協奏曲 第3番>。私にとって、古今のピアノ協奏曲の中で最も好きな曲であり、当時、簡易保険ホールで聴いたキースの演奏は最高のものと思っていた。年月が美化しただけかも知れないとも思ったが、このアルバムがキースの70歳を記念して30年後にリリースされると、それは確信に変わった。時系列を振り返ると、1979年、ヨーロピアンカルテットを解散、1983年9月にスタンダーズトリオの初ライブ。ピアノソロの継続と終了宣言。さまざまなプロジェクトへの取り組み、ファンから見てもキースがどこへ向かうのか分かりにくい時期だったが、キース自身が「1980年代にはその後繰り返されることのない何か特別なことが起こっていた」と語っているように、その創作意欲に溢れた特別な季節の記憶を伝える大切な一枚だ。それを踏まえながら、70歳を迎えて素晴らしい演奏を続けるキースの活躍を楽しみにしている。

詳細はこちら
http://www.jazztokyo.com/five/five1206.html

『Tigran Hamasyan / Luys I Luso』


ECM2447

Hymns, Sharakans and Cantos (Armenian Secred music from the 5th century to the 20th, arranged for piano and voices by Tigran Hamasyan) Tigran Hamasyan: piano, prepared piano Yerevan State Chamber Choir Harutyun Topikyan Recorded October 2014 at Argo Recording Studio, Yerevan

と、「このCD2015」で過去の録音を紹介することには罪悪感があるので、聴き込み不足もありベスト認定までに至らなかったものの、2015年気になったアルバムをひとつ。1987年7月17日生まれ、黒海とカスピ海の間、トルコ、ジョージアに挟まれた高地にあるアルメニア出身のピアニスト、ティグラン・ハマシアン。そのECM初録音となる『Luys i Luso』(ECM2447)は、5〜20世紀のアルメニアの宗教音楽をティグランが編曲し、ピアノと合唱で演奏するプロジェクトであり、そのピアノとヴォイスの響き合いはとても美しく、時間と空間の迷路に引き込まれるようだ。5世紀まで行くと初期キリスト教文化にかなり近づく。これは、ピアノの究極の音色を求め、かつ、ヨーロッパ宗教音楽の源流の響きを追い求めているような気がするマンフレート・アイヒャーをして、力の入ったプロジェクトに違いない。ティグランは幅広い内容とスタイルの演奏を行っていて、2015年8月にはトリオでの来日を予定しながら延期となったが、とにかくライブでティグランの魂を感じ取るのを楽しみにしたい。こちらから試聴ができ、ECM公式PVを見ることができる。http://player.ecmrecords.com/hamasyan-2447

さらにおまけで、2015年の海外ライブの中では、シャイ・マエストロの美しいピアノソロ公演と、Mehliana featuring ブラッド・メルドー&マーク・ジュリアナには圧倒された。それだけに2016年1月来日予定のシャイ・マエストロを擁したマーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテットに注目している。が、しまった『Mark Guiliana Jazz Quartet / Family First』(AGATE / Inpartmaint Inc.)は買っていなかった。PVはこちらから。https://youtu.be/ME0EVPfzp1I

神野秀雄 Hideo Kanno
福島県出身。東京大学理学系研究科生物化学専攻修士課程修了。保原中学校吹奏楽部でサックスを始め、福島高校ジャズ研から東京大学ジャズ研へ。『キース・ジャレット/マイ・ソング』を中学で聴いて以来のECMファン。東京JAZZ 2014で、マイク・スターン、ランディ・ブレッカーとの“共演”を果たしたらしい。

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FIVE by FIVE 注目の新譜


NEW1.31 '16

追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley

FIVE by FIVE
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
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#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣


COLUMN
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#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
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カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子

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CONCERT/LIVE REPORT
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