# 1010
『Aki Takase/MY ELLINGTON』
text by 横井一江
Intakt CD 213 | ![]() |
Aki Takase(p)
1. The Mooche
2. A Little Max (Parfait)
3. Solitude
4. In a Mellow Tone - Do Nothing till You Hear from Me
5. Caravan
6. Lotus Pond. Dedicated to D. E. (by Aki Takase)
7. Love You Madly - I Let a Song Go Out of My Heart
8. I Got It Bad and That Ain't Good
9. Take the Coltrane
10. It Don't Mean a Thing (If It Ain't Got That Swing)
11. Fleurette Africaine
12. Battle Royal
13. Ad Lib on Nippon
Recorded April 16, 17, 2012, by Kulturradio vom Rundfunk Berlin Brandenburg.
Sound engineer: Nikolaus Löwe
Digital cut and mastering: Anne-Kristin Solter
Produced by Intakt Records, Patrik Landolt
モノクロームの陰影の中にエリントン・カラーが浮き上がってくる
最初の一音でぐいっと引き込まれる。上手いピアニストは昨今多いが、こういう作品に出会うことは滅多にない。深い記憶を呼び起こすように低音部が鳴る<ザ・ムーチ>のイントロから、高瀬アキのエリントン作品集は始まった。W.C.ハンディ、ファッツ・ウォーラーと彼女は自身のバンドで取り上げてきた。「ファッツ・ウォーラーを通しでデューク・エリントンが聞こえてくる」と言っていただけに、エリントンを取り上げたCDを制作すると聞いた時は、それをごく自然な流れとして受け止めていた。しかし、考えるにバンドではなくソロピアノで演奏した場合、エリントンの色彩感溢れるサウンドの魅力、そのヴォイシングをどう表現するのか。これは凄いチャレンジだということに気がついたのである。
高瀬アキはそれをピアノ一台でいかにやり遂げたのか。エリントンの作品を読み込み、深部に入ることで、映像に例えていうならば、テクニカラーではなく、コントラストのはっきりしたモノクロームの世界として描き出したといえる。モノクロームの陰影の中にエリントン・カラーが浮き上がってくるように。そこからは、エリントンを通して高瀬が経験したひとつのジャズ・ピアノの歴史もまた聞こえてきた。例えば、<ラヴ・ユー・マッドリー>のタッチにファッツ・ウォーラーの影を見、モンクも『プレイズ・デューク・エリントン』で取り上げていた<イット・ドント・ミーン・ア・シング>に彼を、そしてセシル・テイラーへと続く道が拓けていると感じたように。
そしてまた、作品の奥深くにあるエリントンの記憶を自身の記憶に重ねるように弾く<ソリチュード>から底知れない表現の深みが聴けるように、現代随一のジャズ・ピアニストのひとりといっていい彼女のピアニズム、その境地も随所で味わえる。高瀬を通してエリントンの横顔を知り、エリントンを通して高瀬というピアニストを聴く。作品集として制作されるCDは多いが、このようなアルバムは滅多にない。(横井一江)
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