#  1062

『ワルツ選集〜ショパン、シャブリエ、セヴラック、ドビュッシー、マスネ他』
text by 藤原 聡


la dolce volta LDV13
オープン価格

アルド・チッコリーニ(ピアノ/ヤマハ)

・シャブリエ:アルバムの綴り
・ショパン:華麗なワルツイ短調Op.34の2
・ピエルネ:ウィーン風Op.49bis
・グリーグ:思い出Op.71の7
・サティ:お前がほしい
・セヴラック:ロマンティックなワルツ
・シューベルト(R.シュトラウス編):クーペルヴィーザー・ワルツ
・ドビュッシー:レントよりも遅く
・マスネ:非常にゆっくりとしたワルツ
・シベリウス(作曲者編):悲しきワルツOp.44
・フォーレ:ヴァルス・カプリス第3番変ト長調Op.59
・ブラームス:ワルツ変イ長調Op.39の5
・タイユフェール:ヴァルス・レント

録音:2013年5月21日〜24日 ボンセクール教会(パリ)

チッコリーニのla dolce voltaレーベルへの録音第3弾は、有名無名のワルツ(3拍子)作品だけを集めた何とも小粋なアルバム。演奏がまたほれぼれするほどに見事である。一聴さりげなく流しているよう聴こえながらも微妙かつ繊細なニュアンスの変化とテンポの揺れが実にうまく表出されており、その上実にさりげない。羽根のように軽やかでさえある。まあありていに言って「円熟」という奴だろうが、この軽さと表現の深さの両立、多層的な味わいを感じさせる演奏はチッコリーニと言えども近年に至るまで成し得なかったのではないか。録音時齢87に達していたこのピアニストの人生観照の産物だろう(余談だが2010年来日時にすみだトリフォニーホールで行なわれたリサイタルでのアンコール、スカルラッティのソナタのあまりの美しさ。今でもありありと思い出す)。ピアノのダイナミックレンジはいささか狭くなったと思うけれど、テクニックに衰えは全くない、どころかより上手くなっているようにすら思える。収録曲は基本的にはシンプルな構造のものが多いのだが、全13曲、語り口の上手さに全く飽きることがない。中では、ピエルネの「ウィーン風」、サティ「お前がほしい」、セヴラック「ロマンティックなワルツ」、そしてフォーレの「ヴァルス・カプリス第3番」が白眉の出来栄えと思う。有名でありながらあまり録音されない「ブラームスのワルツ」が入っているのも実に嬉しいところ。チッコリーニのファンはもちろんのこと、ピアノを愛する方にはぜひ聴いて頂きたい逸品! ちなみにla dolce voltaレーベルの常として、装丁が凝っており美しい。輸入盤ですが日本語解説も付いています。(藤原 聡)

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NEW1.31 '16

追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley

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COLUMN
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
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#10 Contents
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#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子

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