# 1070
『マンボ・イン/マンボ・アラウンド・ザ・ワールド』
text by 小西啓一
Mambo Inn Productions MIP4649 \2,381+税 |
マンボ・イン:
スティーヴ・サックス (bs,ss,fl,alto-fl. chorus)
ジョナサン・カッツ (p, chorus)
伊藤 寛康 (b, chorus)
佐藤 英樹 (conga, chorus)
鈴木 義郎 (timbales, shekere, chorus)
1.マンボ・イン(Mario Bauza - Cuba)
2.ショパン前奏曲第20盤ハ短調(Fredric Chopin - Poland)
3.愛を感じて(Elton John - England)
4.アンド・アイ・ラブ・ハー(Lennon/ McCartney - England)
5.オープン・ドア(Steve Sacks - Puerto Rico)
6.海(PD/Japan)
7.ヌアージュ(雲)(Django Reinhardt - France)
8.ディア・オールド・ストックホルム/麗しのワームランド/マンボの世界(Anders Fryxell - Sweden, Steve Sacks - USA)
9. イン・ユア・オウン・スウィート・ウェイ/エアン・バイ・ワン(Dave Brubeck,Wayne Shorter - USA)
10.ロッカー(Gerry Mulligan - USA)
Recorded June 24/October 30, 2013 at Studio Leda, Tokyo
Produced by Steve Sacks
日本在住の外人ミュージシャンの代表格、スティーヴ・サックスが、自身のラテン・ジャズ・ユニット“マンボ・イン”の初アルバムを今回発表した。彼はどちらかと言えば、ブラジリアン・ミュージックのイメージが強いのだが、知的で才能豊かな器用人だけに、ラテン・ジャズの分野も軽々とこなす。先日の“ブルーノート東京”での大物ラリー・ハーローのオーケストラ公演では、客席にいた彼の名前が呼び上げられ、ラテンの有名バンドと共演してきた名手と紹介され、ファンの喝采を浴びていたが、マンボ・キング=ティト・プエンテ・バンドなど、そのラテン・ジャズ歴も華麗にして豪華と言えるもの。
その彼のワン・ホーン・バンド“マンボ・イン”は、もう6年程の活動実績らしいが、同じ日本在住仲間のジョナサン・カッツ(p)に、リズム隊は日本の気鋭ラテン・ジャズ・ミュージシャンが集い、この手の楽園系ガッツ・サウンドでの、日本のレベルの高さ(彼はアメリカ人ではあるが...)を実証できる好個の一作に仕上がっている。バンド名にしてオープニング・ナンバーの<マンボ・イン>は、ラテン・ジャズ・リジェンド、マリオ・バウザの書いた名曲。この少し男臭いダンディーな演奏を皮切りに、スティーヴとバンドの面々のマンボをお供にした、世界周遊旅行が始まる。彼はラテン・ジャズの必須楽器、バリトンサックスをブリブリと豪放に唸らせ、一方フルートも艶やかさを加え巧みに唄い上げ、キューバからヨーロッパ、日本、そして母国アメリカへと駆け巡る。マンボの代名詞、ペレス・プラドのナンバーこそないが、ラテンはもとよりジャズ、ポップス、クラシック、童謡などと、実に愉しげに広範な音楽を自在にラテン・ジャズに仕立てる。中でもファンに興味深いのは、ブルーベックとショーターのジャズ・オリジナル・メドレー(#9)の、鮮やかなマンボ・ジャズ化だろう。
“包容力とインテリジェンスの中に、しっかりとしたガッツがあり、気持ち良いグルーブの中に、ラテン・ジャズへの深い愛が随所に感じられる”と、熱帯ジャズ楽団のリーダー、カルロス菅野氏は賛辞を寄せているが、まさにその通りの心地良い会心のグルーヴィ・サウンドが全編に展開される。こんな素敵なアルバムを提供してくれる好漢スティーヴ、是非ぼくのジャズ番組に招待しないと...、今痛切に感じ入っています。(小西啓一)
追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley
:
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣
:
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi
#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報
シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻
音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美
カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子
及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)
オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美
ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)
:
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義
:
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄
Copyright (C) 2004-2015 JAZZTOKYO.
ALL RIGHTS RESERVED.