# 1071
『伊福部 昭/ピアノとオーケストラのためのリトミカ・オスティナータ』
text by 丘山万里子
ユニバーサル TYCE60014 2000円 |
<曲目>
1、伊福部昭:ピアノとオーケストラのためのリトミカ・オスティナータ
2、片岡良和:抜頭によるコンポジション
3、石井歓:シンフォニア・アイヌ
<演奏>
1、上田仁指揮 東京交響楽団 pf 金井裕
2、上田仁指揮 東京交響楽団
3、上田仁指揮 東京交響楽団 sop 奥村淑子 森正指揮合唱団
<録音>
1、1961年10月9日@厚生年金会館
2、1961年11月1日@厚生年金会館
3、1959年9月28日@日比谷公会堂
<マスタリング>
2013年11月 by 杉本一家(ビクタークリエイティブメディア)
映画「ゴジラ」の音楽で知られる伊福部昭の生誕100年記念にリリースされた本作は、TBSの倉庫に眠っていた音源の中から発見された初演ライブ録音で、現行の版から削除された「伊福部マーチ」が出てくることで、話題となっている。
伊福部は北海道出身、少年期からアイヌの人々と親しく交わり、その生活、文化に多大な影響を受けた。音楽はほぼ独学だったが、1935年「日本狂詩曲」でチェレプニン賞を受賞、一躍、楽壇にその名を知られることとなった。そのダイナミックな民族主義的筆法、少数民族、周辺文化への真摯なまなざしは終生変わらず、欧米の前衛音楽の波などどこ吹く風で、独自の音楽のリアリティを追い続けた。この「リトミカ・オスティナータ」は1961年の作品だが、58年には電子音楽からケージまで、前衛の最前線で常にスポットライトを浴びていた黛敏郎が「涅槃交響曲」で東洋回帰を宣言、世を驚かしているあたり、興味深い。黛は東京音楽学校(現・芸大)で伊福部の指導も受けている。
録音は、現代作品を多く手がけていた東京交響楽団の第116回定期演奏会のもので、上田仁指揮、金井裕ピアノ。執拗に繰り返される無窮動的なピアノにオーケストラがかぶり、大地を蹴り上げ足踏みするダイナミズムは圧倒的だ。いささかリズムがモタモタしたりピアノとオケがズレたりするのはご愛嬌というところ。ときおり挟まれるゆったりした雅楽風の旋律や音色と、リズミックな鳴動の交錯が耳を楽しませ、伊福部ワールド全開。最後の一打にとびつくような拍手も、初演時の客席の空気を伝えて面白い。
他に、雅楽の抜頭をもととした片岡良和「抜頭によるコンポジション」(61年初演)と、アイヌの歌を用いた石井歓「シンフォニア・アイヌ」(59年初演)が入っており、当時の民族楽派の一端をのぞくことができる。
なお、片岡と石井の作品の前には解説が吹き込まれており、ライナーノーツには伊福部作品でのピアノの金井と、「抜頭」の片岡への電話インタビューが掲載されている。(丘山万里子)
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