# 1080
『André Brito/Para Ouvir e Dançar!』
Texto por Kepel Kimura
Brasil Independente |
Bruce Lemos(Piano)
Sérgio Galvão(Sax soprano curvo)
Valéria Gomes(Violão)
Paulo Titonelli(Baixo acústico)
André Brito(Bateria)
他
1. All the things you are
2. Autumn Leaves
3. Days of wine and roses
4. Misty
5. Tune up
6. Blue bossa
7. Stella by starlight
8. Someday my prince will come
9. On green dolphine street
10. Bye bye blackbird
11. All of me
Produced by André Brito
Recorded at ‘Tomba Records’, Niteroi, Rio de Janeiro, between winter of 2011 and summer of 2012.
Mixed and mastered by Bruno Marcus and Andre Brito.
ブラジルにもジャズがあるのか?と訊かれれば「イエス!」と答える。リオやサンパウロなどの大都会では多くのミュージシャンたちが夜な夜なジャズを演奏している。ホテルやラウンジの仕事ではジャズがメインで、サンバやボサノヴァは観光客向けということになる。もちろん最先端のジャズを聴かせるライヴハウスもあり、そういうところにはたまに外国の有名ジャズメンもやって来て演奏を披露する。古くはスタン・ケントン楽団やディジー・ガレスピー楽団、70年代にはエレクトリック・サウンドのマイルス・デイヴィス、そしてブラジルのミュージシャンたちとの共演で有名でしかもしばらくリオに住んでいたパット・メセニー、昔からブラジルで人気があるのはベースのロン・カーターなど、他にもフランスやドイツなどからもブラジルを訪れるジャズ・ミュージシャンは多い。またジャズを聴くリスナーも多いのでジャズのCDやLPもそれなりに流通している。
アンドレ・ブリットはリオ・デ・ジャネイロの対岸にあるニテロイ地区で活躍するブラジル人ドラマーだ。彼の初リーダー作はジャズ・スタンダードのみを演奏した『PARA OUVIR E DANCAR!』(パラ・オウヴィール・イ・ダンサール!=“聴いて踊るために!”) というアルバム。参加しているのは全員ブラジル人だが、来日経験のあるアコースティック・ベースの名手セルジオ・バホーゾと、イヴァン・リンスのバンドで何度もブルーノート東京で演奏しているサックス(ここではフルート)のマルセロ・マルチンス、そして世界的に有名なフュージョン・バンド=アジムスのベーシストであるアレックス・マリェイロス、その3人以外はほとんどが無名のミュージシャンだ。
収録された11曲(79分39秒)は全てジャズ・スタンダードとして有名な曲ばかりで、それらの名曲をアンドレを始めとするメンバーたちは、時にはサンバのリズムを使ってブラジル風に、時にはストレート・アヘッドな4ビートを使い、たまにアフロ・キューバン系のリズムでも演奏している。基本的にはピアノ・トリオの編成が多いが、曲により管楽器も加わるし、複数のギタリストが参加している曲もある。
正直にいえば、このドラマーは4ビート系のリズムでのスイング感は乏しい。でもドラマーがリーダーゆえにドラム・ソロも多く、そこではアンドレがドラムだけでなく様々なパーカッションも演奏していて、パーカッションならではの色合いが楽しめるところがポイントだ。9曲目の「グリーン・ドルフィン・ストリート」ではニテロイ地区で頑張っているピアノのマルヴィオ・シリベリとアジムスのベーシストのアレックスがさすがに聴かせどころのある演奏を披露している。11曲目の「All of me」では3人のギタリストがそれぞれ個性的なアドリブを聴かせてくれるが、やはりマルセロ・マルチンスのフルート・ソロは聴き応えがある。4ビートで始まったのに最後はサンバの2ビートになっているというのもご愛嬌。(ケペル木村)
この作品は以下のサイトで全曲聴けます。
https://soundcloud.com/user6701340/01-andre-brito-all-the-things
ケペル木村
1953年、東京は杉並区の生まれ。ビートルズ初来日の頃にドラムを叩き始め、ロック、ポッブス、ジャズを聴く。その後、ラテンやアフリカの音楽を聴き始め、パーカッションも始める。
大学卒業後、銀座十字屋でレコードと楽器の販売に携わる。1986年にニューヨークへ、そして1987年にはブラジルを訪れて各地を回る。
帰国後「中南米音楽」に入社し、ブラジルからCDの輸入と販売、配給に携わる。
現在はCDの解説をはじめとするブラジル音楽に関する執筆活動、ラジオ番組への出演、打楽器奏者としての演奏活動、そしてカルチャーセンター講師なども務める。
追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley
:
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣
:
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi
#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報
シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻
音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美
カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子
及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)
オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美
ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)
:
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義
:
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
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