# 1085
『Caetano Veloso / Abraçaço
カエターノ・ヴェローゾ/アブラサッソ』
text by 神野秀雄
ユニバーサル クラシック&ジャズ UCCM-1220 |
Caetano Veloso(guitar,voice)
Pedro Sé(electric guitar,chorus)
Ricardo Dias Gomez(bass,Rhodes,chorus)
Marcelo Callado(drums,percussion,chorus)
Moleno Veloso(bass) (11)
1. A Bossa Nova É Foda
2. Um Abraçaço
3. Estou Triste
4. O Império da Lei
5. Quero Ser Justo
6. Um Comunista
7. Funk Melódico
8. Vinco
9. Quando o Galo Cantou
10. Parabéns
11. Gayana
Produced by Pedro Sé and Moreno Veloso
Recorded and mixed monaural by Daniel Carvalho and Moreno Veloso
前進を止めないカエターノ・ヴェローゾのバンド・セーによる最新作
71歳を迎えたカエターノ・ヴェローゾ。『アブラサッソ』のジャケットでは、その裸体とともにさまざまな表情を見せている。その肉体は年齢不詳のようでもあり、年輪は感じるが、老いは感じさせない。それはこの新譜の音の革新性を象徴するかのようだ。2006年の『セー』、2009年の『ジー・イー・ジー』と7年以上不動のメンバーによる演奏で、ギターのペドロ・サーと息子のモレノ・ヴェローゾがプロデュースした。ブラジルではこのライブCD/DVD『Multishow Ao Vivo - Abraçaço』がリリースされており、日本では4月2日にCDが発売される予定。バンド・セーとしてはライブ盤を含めると計6枚に相当する。
バンド・セーは4人と最小限の編成だが、エレクトリックな音、アコースティックな音、ノイズギターまでを同時に巧みに織り交ぜ、しかもカエターノの声も含めてクリアーな音質で、相当に複雑で不思議な音世界が展開されるのに耳を疲れさせることなくむしろ心地よい空気に包まれる。相変わらずのカエターノ節とも言える不思議なグルーヴとメロディ。その作曲も声も衰えるどころか、ますます新鮮で新しい世界観に引き込む。
1曲目からシンプルで奇妙なギターのリフに誘われる<A Bossa Nova É Foda>は、国安真奈の訳によると<ボサ・ノヴァはヤバい>。fodaは英語のfuckのような侮蔑と良いの意味があり、ヤバいをあてたと言う。不思議なグルーヴに包まれながら歌詞の内容も深く、カエターノ流のボサ・ノヴァ讃歌だ。タイトル曲になる<Um Abraçaço>は、国安訳によると<大きなハグを>、中原仁の解説によると、抱擁を意味するAbraçoが強調されているといい、カエターノがメールの締めの言葉に使っているという。カエターノらしい素敵な言葉だ。それ以降の曲の数々も、これまで同様そしてこれまで以上に、穏やかさと緊張感を同時に持ち、ときに優しくときに難解でときに過激な歌詞で、音楽を紡いでいく。
下記に公式に提供されているライブ映像へのリンクを記したが、この極めて高いクオリティーと音楽性を持つバンド・セーは現在、活発にAbraçaçoツアーを行っている。そしてバンドと会場の一体感が新たなグルーヴを生み出して行く。ぜひバンド・セーの来日公演を実現して欲しいと思う。
【関連リンク】
カエターノ・ヴェローゾ公式ウェブサイト(ポルトガル語)
http://caetanoveloso.com.br
A Bossa Nova É Foda 公式PV
https://www.youtube.com/watch?v=orPhkLpX3ps
Um Abraçaço ライブ映像
https://www.youtube.com/watch?v=t3Abq4MMPFU
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cê (ユニバーサル クラシック&ジャズ UCCM-1102) |
zii e zie (ユニバーサル クラシック&ジャズ UCCM-1171) |
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Caetano Veloso: Multishow Ao Vivo - Abraçaço (日本版CD ユニバーサル クラシック&ジャズ UCCM-1226 2014年4月2日発売) |
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