# 1158
『非常階段 featuring ゆるめるモ!/解体的交歓〜真夜中のヘヴィ・ロック・パーティ〜』
text by Takeshi Goda
TEICHIKU TECH-25423 定価:\2,381(税抜) 2014年12月17日発売 |
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Hijokaidan are
Jojo Hiroshige(el-g)
T.Mikawa(electronics)
Junko(vo)
Futoshi Okano(ds)
ゆるめるモ! are
ももぴ(vo & ds)
しふぉん(vo)
ようなぴ(vo & kaoss pad)
あの(vo & el-g)
ちーぼう(vo)
Except:けちょん / ゆみこーん(Absenced)
Recorded live at Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE, Tokyo, 2014
1. JMM! / 非常階段
2. Majiwaranai CAts / 非常階段 featuring ゆるめるモ!
3. スキヤキ / 非常階段 featuring ゆるめるモ!
4. 虎よ / 非常階段 featuring ゆるめるモ!
5. たびのしたく / 非常階段 featuring ゆるめるモ!
6. SWEET ESCAPE / 非常階段 featuring ゆるめるモ!
7. 解体的交歓 / 非常階段
「このライヴ/コンサート 2014(国内編)」で取り上げた非常階段のコラボ・プロジェクトの最新型が、早くもCDリリースされる。アイドル・グループBiSとのユニット「BiS階段」が渋谷WWWで解散した1か月半後の6月21日にイベント「自家発電」で共演したのが、同じくアイドル・グループの「ゆるめるモ!」だった。2年前BiS階段誕生のきっかけとなったイベントの続編とはいえ、これは「推し変」(贔屓のアイドルを乗換えることを示すヲタク語)か?などと下衆の勘繰りはしないが徳。
世界初のノイズアイドルバンドと言われた「BiS階段」は、本来水と油の「NOISE」と「IDOL」が衝突・融合することで、カオス的な狂乱状態を産み出した。
それに対し、この二代目ノイズ&アイドルコラボ「非常階段 featuring ゆるめるモ!」は、がらっと異なり初共演の時点で驚く程の親和性を見せた。ゆるめるモ!の楽曲がクラウトロックやニューウェイヴの影響の濃いミニマルなエレクトロサウンドであり、グループの存在自体がサブカル系に特化したものであること、企画者とオーディエンス側にもノイズとアイドル共演の経験があり、ある程度のノウハウが確立されていたこと、などが理由と言える。
2度目の共演となった9月26日のオールナイト・イベントでのライヴ録音盤である本作を『解体的交歓』と名付けた制作者(JOJO広重)の意図は、当然ながら70年代日本の即興ジャズの極北と呼ばれた高柳昌行×阿部薫『解体的交感』へのオマージュであるが、ミニマルノイズビートに乗せたアニメ風の歌声、アイドルらしい天真爛漫なMC、アイドルヲタクの掛け声、そして演奏の節々に漲る陽性のパワーには、この日のステージを演奏者、観客、企画者全員が最大限に楽しんだことが刻まれている。つまり「ばらばらになった(=解体的)」人々が「ともに打ち解けて楽しんだ(=交歓した)」記録に違いないのである。
70年代の「表現の極北」はシリアスであることを美徳としたが、21世紀の「表現行為」は真面目一辺倒では通用せず、楽しむことではじめて有効性を獲得出来ると言えるのかもしれない。その意味でこのアルバムは、理想的な表現行為の最新型を世に問う「問題作」と言えるであろう。ジャケットを見て微笑みながら、溢れる楽しさに身を任せるだけで、21世紀の「表現の極北」に辿り着くことが可能なのである。(剛田武)
剛田 武 Takeshi Goda
1962年千葉県船橋市生まれ。東京大学文学部卒。レコード会社勤務。
ブログ「A Challenge To Fate」 http://blog.goo.ne.jp/googoogoo2005_01
追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley
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#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣
:
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi
#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報
シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻
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「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美
カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子
及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)
オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美
ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)
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#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
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#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
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