#  1167

『Dave Douglas & Uri Caine/Present Joys』
text & photos by Takehiko Tokiwa


Greenleaf Music Inc. GRE -CD-1037

Dave Douglas (tp)
Uri Caine (p)

Side A
1. Soar Away
2. Ham Fist
3. Bethel
4. Present Joys
5. Supplication

Side B
6. Supplication
7. Confidence
8. End to End
9. Old Putt
10. Zero Hour

Recorded and Mixed live to 2- track By Tyler McDiarmid at The Loove, Brooklyn NY on December 16 & 17, 2013

 自らのレーベルGreenleafを主宰し、2005年の設立以来21枚ものリーダー・アルバムをリリースして、精力的な活動で知られるデイヴ・ダグラスの最新作は、盟友ウリ・ケインとのデュオだ。2011年に癌との闘病生活の末、逝去した母がメモリアル・サーヴィスで演奏して欲しいと遺言した、Sacred Harpといわれるアメリカ南部発祥のプロテスタント教会のコーラス音楽をモチーフとした、スピリチュアルな作品である。ダグラスは前作の『Be Still』でも、クインテットとシンガーのアイフォ・オドノヴァンをフィーチャーして、母の遺したセット・リストに挑戦しており、このアルバムで母の死を克服できたと語っている。Sacred Harpをモチーフとしたのは1、3、4、5、7。オリジナルはアカペラのみで、音楽トレーニングを受けていない一般の信者でも歌えるシンプルな構造のメロディに、エモーショナルなトランペットのメロディと、寄り添うピアノのコンピングもスリリングだ。オリジナル曲も、違和感なくトラディショナル・ソングに融け込む。自らの多彩な音楽を「ポップとオールド・フォークのフィーリングを持つことで、共通の1本のラインが通じている」と語るダグラスの言葉を、証明していると言えよう。ミニマムな編成のデュオならではの、リズミックな冒険も聴きどころだ。ライヴでも、そのスピリチュアリティと緊密な対話を、リアルタイムで体感する事が出来た。LPレコードもリリースされ、ダグラスのこだわりでCDもA面、B面という構成がなされている。 デイヴ・ダグラスの次作は、ジョー・ロヴァーノ(ts)と、この2年間共に活動したウェイン・ショーター(ts,ss)・トリビュート・プロジェクト”Soundprints"の待望のアルバムが、Greenleafとブルーノートのジョイント・レーベルからリリースされる。このデュオの体験がどのように反映されるかも、注目である。(常盤武彦)

ウリ・ケイン ウリ・ケイン、デイヴ・ダグラス デイヴ・ダグラス

写真撮影:2014年12月16日@サブカルチャー、NYC

常盤武彦 Takehiko Tokiwa
1965年横浜市出身。慶應義塾大学を経て、1988年渡米。ニューヨーク大学ティッシュ・スクール・オブ・ジ・アート(芸術学部)フォトグラフィ専攻に留学。同校卒業後、ニューヨークを拠点に、音楽を中心とした、撮影、執筆活動を展開し、現在に至る。著書に、『ジャズでめぐるニューヨーク』(角川oneテーマ21、2006)、『ニューヨーク アウトドアコンサートの楽しみ』(産業編集センター、2010)がある。

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追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley

FIVE by FIVE
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COLUMN
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