若手トランペッター、ピート・ロドリゲスによる新たなジャズとラテンのランデヴー

ニューヨリカン・サルサの中心人物として1950年代後半から2000年に逝去するまで活躍したピート“エル・コンデ” ロドリゲスを父に持つ、若手トランペッター、ピート・ロドリゲスが、ラテン・ジャズ・サイドから父のヒット・チューンにアプローチしたトリビュート作。前作『Caminand Con Papi』に続きルイス・ペルドモ(ｐ)、リッキー・ロドリゲス(ｂ)、ルディ・ロイストン(ds)のレギュラー・クァルテットを核に、ロバート・クインテロ(per)が参加してリズムにヴァリエーションを加える。
オープニングの＜Soy La Ley＞、＜Catalina La O＞、＜Convergencia＞、＜Sombra Que Paso＞、＜Guaguanco De Amor＞が父のカヴァーだ。サルサ・チューンに内省的なデプスを加え、熱いトランペット・プレイとクールなヴォーカルが、美しいコントラストを描く。オリジナルの＜Stolen Changes＞は文字通り、チャーリー・パーカー(as)の＜Confirmation＞のコード・チェンジを拝借したもの。ラテン・ビートとスウィングが交錯し、コンテンポラリー・ビバップ・フレーズが弾む。＜Perdomo's Blues＞は、中核の4人のインタープレイが白熱する。エンディングの父のニック・ネームを冠した＜El Conde Negro＞は、美しいメロディ・ラインと、ソリストを刺激するコンピングで、本作のもう一人の主役とも言えるルイス・ペルドモ(ｐ)の長いイントロが導火線となり、壮大なインストルメンタルによるオペラのような展開を聴かせ10分を超える大作だ。カヴァーとオリジナルが一体となり、新たなジャズとラテンのランデヴーが描かれた。
6月17日のアルバム・リリース・ギグの舞台は、ビバップ発祥の地『Minton’s』。チャーリー・パーカーに敬意を表して、ラテン・チューンの中に＜Stolen Change＞がクァルテットでフィーチャーされた。

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Pete Rodriguez 　http://peterodriguezmusic.com
Minton’s http://www.mintonsharlem.com