# 670
THE WAY - LIVE IN WOODSTOCK ONE & TWO
text by Nobu Stowe
『THE WAY - LIVE IN WOODSTOCK ONE & TWO』
ICTUS Records 150 & 151
THE WAY
Joe Giardullo (soprano sax)
Andrea Centazzo (percussion, Kat Mallet, samplers)
LIVE IN WOODSTOCK ONE:
Live in Woodstock 1-8
Recorded live @ The Kleinert James Art Center (Woodstock), November 20, 2009
Recorded by Thomas Mark
Mixed, edited, designed and produced by Andrea Centazzo
LIVE IN WOODSTOCK TWO :
Live in Woodstock 9-16
Recorded live at Sertso Studio (Woodstock), November 22, 2009
Recorded by Ted Orr
Mixed, edited, designed and produced by Andrea Centazzo
アンドレア・チェンタッツォが、精力的に活動している。レポート済みのジョン・ゾーンとのデュオ・ライブ(http://www.jazztokyo.com/live_report/report254.html)、アインシュタインの相対性理論に影響を受けたマルチメディア・プロジェクト“Cosmic Messangers”公演等の他、元フランク・ザッパ=マザーズ・オブ・インヴェンションのドン・プレストンとの作品発表も近いと聞く。
今回紹介するアルバムは、ジョー・ダルドゥーロとの新ユニット“THE WAY”のデビュー作。2009年の11月にジョーの住むウッドストック(NY州)で録音された即興を基に、アンドレアが多重録音等のスタジオ処理を施して作られた。録音日時/場所に順じて2枚のCDに分けられて発売され、各8曲づつ収められている。
アンドレアのこれまでの活動及び、自主レーベル=ICTUS レコードについては、横井一江さんの記事を参照してもらいたい。(http://www.jazztokyo.com/yokoi/v17/v17.html)
ジョー・ダルドゥーロは、ブルックリン出身のサックス奏者。1948年生まれだから、アンドレアと同年代になる。ほぼ独学で楽器を習得したが、ドン・チェリーtp、レオ・スミスtp等にも師事。60年代後半に始まる、長い活動暦の割りには寡作だが、アンソニー・ブラクストンやジョー・マクフィーとのグループ作品の他、サックス1本での単独作品もCADENCE、DRIMALAや最近注目のポーランドのレーベル=NOT TWO他のレーベルより発表している。彼は、ソプラリーノからテナーまで、各種サックスとフルートをこなすが『LIVE IN WOODSTOCK ONE & TWO』では、1曲でのフルートを除き、ソプラノ・サックスに専念。
ソプラノ・サックスとパーカッションのデュオと言えば、アンドレアがスティーブ・レイシーと組んで発表した『Clangs』(ICTUS:1976年)と『Tao』(ICTUS:1984年)がある。“THE WAY”結成の経緯は、ジョーが『Tao』を聞いてアンドレアにEメールを出した事が、発端と聞いている。確かに、ジョーのソプラノは、一聴した感じ、レイシーからの影響が大きい音色/プレイ。しかし、彼独自のニュアンスも勿論備わっていて、決して“コピー”で終わっていないところは、高く評価出来る。インド古典音楽とジョージ・ラッセルが提唱した音楽理論『リディアン・クロマティック・コンセプト』を徹底的に研究した成果だろうか。
アルバムの基本構図は、ジョーの“スペース”(空間)を最大限活用したソプラノの合間を、アンドレアの各種シンバルや電子音を含むパーカッションが歌うように舞う。即興演奏と言うと、実験的な前衛音楽を想像すると思うが、いわゆる“フリー・インプロヴィゼーション”とは、隔たりがある音楽だ。硬派でありながら、木霊を感じさせるリバーブ処理や、アンビエント系キーボードの色付けが、ニューエイジ音楽に近いリラクゼーションを醸し出す。かなり独創的な音空間だ。(NOBU STOWE /須藤伸義)
**残念ながら『THE WAY - LIVE IN WOODSTOCK ONE & TWO』は、日本国内での入手が難しいようであるが、レーベル・ホームページで通販可能:
ICTUS Records (www.ictusrecords.com)
**詳細は、以下のホーム・ページで:
Joe Giardullo (www.joegiardullo.com)
Andrea Centazzo (www.andreacentazzo.com)
追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley
:
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣
:
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi
#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報
シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻
音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美
カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子
及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)
オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美
ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)
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#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義
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#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
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