#  786

『東日本大震災被災地支援 Jazz for Japan』
text by 稲岡邦弥


ビデオアーツ・ミュージック/バウンディ 
VACM-7002 
¥2,500(税込:6/1緊急発売)

A:スティーヴ・ガッド(ds) ビリー・チャイルズ(p) ネイザン・イースト(b) トム・スコット(sax) エヴェレット・ハープ(sax)/ジョージ・デューク(el-p)
B:クラレンス・マクドナルド(p) レオン“ンドゥグ”チャンクラー(ds) デヴィッド・T・ウォーカー(g)、デル・アトキンス(b)/マーカス・ミラー(b,b-cl)/リー・リトナー(g)/ケニーG(ss)
C:クリスチャン・マクブライド(b) ビリー・チャイルズ(p)/ピーター・アースキン(ds)
D:リッキー・マイナー&トゥナイト・ショウ・バンド:マーカス・ミラー(b)ウェイン・リンゼー(p) ポール・ジャクソン・ジュニア(g) テディ・キャンベル(ds) デヴィッド・デローム(el-p) ケヴィン・リチャーズ(perc) レイモンド・モンテリオ(tp) ミゲル・ガンデルマン(ts) ギャレット・スミス(tb) ランディ・エリス(as)
E:デロン・ジョンソン(p) ラリー・ゴールディングス(org) チャック・バーグホファー(b) ピーター・アースキン(ds)
F:ボニー・ジェームス(sax) 松居慶子(p) リッキー・マイナー(b) トム・ブレクトレイン(ds) デヴッド・ペイチ(el-p)
G:アレックス・アクーニャ(ds, conga)アルフォンソ・ジョンソン(el-b) ハーマン・ジャクソン(p)クラレンス・マクドナルド(el-p)
H:ボブ・ジェームス(p)

Disc 1:
1. 処女航海 (H.ハンコック)
2. シュガー (S.タレンタイン)
3. ソー・ホワット (M.デイヴィス)
4. ソフィスティケイテッド・レディ (D.エリントン & A.ミルズ)
5. フットプリンツ (W.ショーター)
6. ワーク・ソング (N.アダレイ)
Disc 2:
1. この素晴らしき世界 (B.シール/G.D.ワイス/R.バード)
2. ミスターP.C. (J.コルトレーン)
3. 身も心も (E,ヘイマン/R.サウアー/F.アイトン/J.グリーン)
4. コールド・ダック・タイム (E.ハリス)
5. ウォーターメロン・マン (H.ハンコック)
6. インヴィテーション (K.ブロニスロウ/P.F.ウェブスター)
7. カンタロープ・アイランド (H.ハンコック)
8. アイム・グラッド・ゼア・イズ・ユー (J.ドーシー/P.マデイラ:配信アルバムには未収録)

プロデューサー:ラリー・ロビンソン
録音:2011年3月23日/24日@キャピトル・スタジオ、LA

 東日本大震災の被災者の傷ついた心を癒し、経済的損失を支援するために各地、各国でさまざまなイベントや企画が立案、実施されている。失われた人の数や物量は余りにも大きく、ひとびとの喪失感を埋めるのは容易(たやす)いことではない。しかし、音楽はひとびとの心を癒し、加えて経済的支援のメディアにもなり得る。そう信じるひとたちが結集して音楽を演奏し、録音し、いちはやくネットを通じて配信、たちまちジャズ・チャートのトップに昇りつめ大きな支持を得ることができた。さらにCDとして流通させ、ネット・ファン以外にも広くアピールしようというのがこの企画である。
 彼らの行動力は素晴らしかった。大震災から2週間後にはCD2枚分に相当する音源が完成したのである。日頃日本の音楽ファンに支えられているからその恩返し、とはいえ、われわれが他国で発生した災害の被災者に彼らのような迅速な対応をとることができるだろうか。あるいはかつてとってきただろうか?我が身を振り返ってみれば、阪神大震災の被災者のためのベネフィットCD(『レインボー・ロータス/ビッグ・ハンド・フォー阪神』)の制作にとりかかったのは、震災から2ヶ月は経っていた。しかもNYのプロデューサーに背中を押されての立ち上がりだった。
 3月23日と24日、LAのキャピトル・スタジオに参集したのは、ウェスト・コーストを中心に活躍するフュージョン・ジャズ系ミュージシャン30余名。リストを一瞥すれば分かるように、目を見張る腕っこきのミュージシャンたちがずらり名を連ねている(彼らのスピリットに敬意を表して参加者全員の名前を表記させていただいた)。時間との戦いだから、誰もが知っているお馴染みの曲をヘッド・アレンジでスムーズに演奏していった。結果として親しみやすい、太陽の匂いのするコンテンポラリーなジャズ・アルバムが完成した。といって、お気軽な演奏では決してない。満天下のファンの耳にさらされるのだ。それは誇り高き彼らの矜持が許さない。滞日中だった松居慶子はトンボ帰りしたというし、マーカス・ミラーはバスクラで<ボディ・アンド・ソウル>を吹いている。掉尾を飾ったボブ・ジェームスのソロ・ピアノは配信アルバムには含まれておらず、CD用ボーナス・トラックとして用意された。
 迷わず1枚。音楽を通じた支援の輪に加わろう。(稲岡邦弥)

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FIVE by FIVE 注目の新譜


NEW1.31 '16

追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley

FIVE by FIVE
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣


COLUMN
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi

#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報 シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻


音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美

カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子

及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)

オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美

ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)

INTERVIEW
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義

CONCERT/LIVE REPORT
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄


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