#  840

『キース・ジャレット/リオ』
text by 安田伸子


ECM/ユニバーサル
UCCE-1129/30(2枚組)3,600円

キース・ジャレット(piano)

Disc 1 :
Part I/ Part II/ Part III/ Part IV/ Part V/ Part VI

Disc 2:
Part VII/ Part VIII/ Part IX/ Part X/ Part XI/ Part XII/ Part XIII/ Part XIV/ Part XV

Recorded @ Theatro Municipal, Rio de Janeiro, Brazil on April 11, 2011
Recording Engineer: Martin Pearson
Executive Producer: Manfred Eicher (ECM 2198/99)

星空を眺めながら聴く、秋の夜長にぴったりなCD

11月2日に、ブラジル、リオで行われたキースのソロ・ピアノ・アルバムが発売となる。
キースは、ブラジルでのコンサートは、なんと!1989年、ゲイリー・ピーコック、ジャック・ディジョネットとトリオで演奏して以来、つまり、今回が2回目。

リオは、あのECMアーティスト、エグベルト・ジスモンチが住んでいる街でもあり、こういったピアノ・スタイルは、人気が高いと思われるが、神経質なキースは、南米が嫌いなのだろうか、滅多に南米ツアーは、行わない。

今回は、4月6日にサンパウロ。4月9日にリオで演奏した直後、4月12日にブエノスアイレスで演奏している。ブエノスアイレスでは、毎年きまってコロン劇場でのコンサートが期待され、ブエノスアイレスの新聞、クラリンやラナシオンで、頻繁にキースの特集が取り上げられるのだが、今年はコンサートが3回行われたのであった。
キースが、このリオでのコンサートのCD化を決めたのは、相当、この演奏が気に入ったからのようだ。

冒頭は、バルトーク風に始まり、3曲目はキース独特のリズム、4曲目の繊細な和音には、感嘆する。個人的には、覚えやすいメロディーが何度も繰り返される5曲目が一番好きで、遊び心が見られ、<リオでの演奏らしさ>が聞こえてくる。そして、ドビュッシーを思わせる9曲目。秋の夜空を眺めながら聞くと、その寛大さが広がり、そこには、満天の星空が描かれる。こんな素晴らしいロマンチックな作品が、他に、この世に存在するのだろうか、とさえ思えてくる。ブルース調の11曲目、クライマックスを感じさせる13曲目は、心寂しく、そして14曲目は、再び元気にカリオカに挨拶。最終後は、クラシック調で閉幕となる。

キースは、インタビューで、「私は、箱に入れられ、麻痺している。ステージ上では、自分が、何をやっているのかわからないが、このコンサート、4月9日、何か強いリオの霊魂を感じ、二度と行うことができない奇跡の一夜だった」という。

秋の夜長にぴったりなこのCDを、星空を眺めながら、聞いてみてはいかがでしょうか。
きっと私達の宇宙が見えてくる。(Nobucco 安田伸子/タンゴ・ピアニスタ)

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