#  872

『ブラームス:ドイツ・レクイエム』
text by 大木正純


EMIクラシックス
TOGE-12043 3000円

演奏者:
オットー・クレンペラー(指揮)
フィルハーモニア管弦楽団
フィルハーモニア合唱団
エリーザベト・シュヴァルツコプフ(ソプラノ)
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)

録音場所:ロンドン、キングスウェイ・ホール
録音時:1961年1〜4月
プロデューサー:ウォルター・レッグ
エンジニア:ダグラス・ラーター、アラン・ラムゼイ(リマスター)

 EMIクラシックス「名盤SACD」シリーズのラインナップが壮観だ。ピアニストで言えばフランソワ、ギーゼキング、リパッティといった個性的な名匠たちの歴史的名盤が、リマスターされた良好な音質で次々に蘇るのは、オールド・ファンならずとも嬉しい限り。因みにこれは二層構造のハイブリッド・ディスクなので、通常のCDプレイヤーでも楽しめる。

 ここではその中から1枚、クレンペラー指揮、フィルハーモニア管弦楽団・合唱団による「ドイツ・レクイエム」を紹介しよう。1961年春、クレンペラー76歳の録音である。

 この演奏はたとえばジュリーニ指揮による記念碑的な名盤や、私はあまり評価しないが人気抜群のカラヤン盤(1964年、1976年)の陰に隠れ勝ちで、必ずしもリスナーの支持を広く集めてはいなかったかも知れない。しかしいまこうして、リフレッシュされたクリアな音質で聴き直してみると、決して比喩ではなく、ちょうど霧の向こうから巨大な古城がくっきりと姿を現すような印象があって、私はすっかり嬉しくなってしまった。ともかくこの重厚さ、堂々たる風格は並のものではない。いまはこうした、峻厳な美しさに満ちたゲルマン的な演奏はあまりはやらないのかも知れないが、私としては身が引き締まるようでまことに心持ちが良い。
 シュヴァルツコプフとフィッシャー=ディースカウという、往年の名歌手たちの筋金入りのソロを聴けるのもこのディスクの良いところである。(大木正純)

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