# 874
『峰厚介カルテット/With your soul』
text by 望月由美
Mine-G−001 2,625円(税込) |
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パーソネル:
峰 厚介(ts)
清水絵理子(p)
杉本智和(b)
村上 寛(ds)
演奏曲:
1. With your soul(峰 厚介)
2. Before decamp(峰 厚介)
3. Shiodomari‐‐The other stream(峰 厚介)
4. E.S.A(峰 厚介)
5. Without fail(峰 厚介)
6. I guess so stay there(峰 厚介)
7. Hiroshi’s delight(峰 厚介)
録音:2011年6月7日、8日 at STUDIO Dede
エンジニア: 杉山茂(Kennek Knock Co.,Ltd)
プロデユーサー:峰 厚介
「峰厚介カルテット」の自由度も完成度も高いアルバム
峰厚介のレギュラー・グループ「峰厚介カルテット」による新作で、峰厚介が立ち上げた自主レーベル<MINE-G>レーベルの記念すべき第一作である。
村上寛(ds)の切れのよいシンバルとスティック捌き、そして絶妙なタイミングのバス・ドラがグループを鼓舞し、杉本智和(b)の刺激的なピチカートと清水絵理子(p)の清新なタッチのピアノがリズムをしっかりと支えるなかを峰厚介(ts)が朗々と歌い上げる。すべて峰厚介のオリジナルであり、テナー・サックスの低い音から高い音まで全域に渡って峰節が全開、峰厚介のなめらかで美しい音色が存分に堪能できる。それぞれが個性豊かに自分らしさを主張しているが決して大上段にふりかぶったところがなく、普段どおりの結束力と遊び心のある峰カルテットが展開する。
峰厚介の粋なテナーは快適にスイングする(1)<With your soul>や潮の満ち干の間に一瞬訪れる静寂を想わせる静謐なサウンド(3)<Shiodomari‐‐The other stream>、熟成したバラード(6)<I guess so stay there>などで、その人柄がにじみでたファンタスティックなプレイが聴かれるが、特筆すべきは峰のソロが終わった途端に(p)〜(b)〜(ds)の3人が生き生きと楽しげに対話を始めるところである。村上寛の先導で繰り広げられる3人の知的で刺激的な応酬はかつてのマイルス・クインテットのハービー、ロン、トニーがボス、マイルスが下がった途端に活発に蠢き出して目を見張らせたのと同じようにスリリングである。そしてその3人を優しく見まもる峰さんの姿が背後に浮かび上がる。今の峰カルテットの充実ぶりがうかがえる。
ジャズ史に残る名演を残した「峰厚介クインテット」を解散しワンホーンの「峰厚介カルテット」として新たなスタートを歩みだして4年、途中ベース奏者がなんどか入れ替わったが杉本智和にベースが固定して1年ほど、ユニットとしてのダイナミズムが頂点に登りつめようとしている時点での録音であり、『峰厚介カルテット With your soul』(MINE-G−001)は今まさに上昇気流に乗り始めた「峰厚介カルテット」の強烈な個性と存在感を鮮烈に発信している、自由度も完成度も高いアルバムである。(2012年1月 望月由美)
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