# 902
『ワルツの革命〜モーツァルト、ランナー&J.シュトラウス1世:ダンス、ワルツ&ポルカ集』
text by 大木正純
ソニー・クラシカル(SICC-1535/6) 3000円 |
演奏者:ニコラウス・アーノンクール指揮 ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
CD1:
モーツァルト
1. 2つのコントルダンスKV.603 第1曲
2. 5つのコントルダンスKV.609 第1曲
3. 5つのコントルダンスKV.609 第4曲
4-9. 6つのドイツ舞曲KV.571
ヨハン・シュトラウス1世
10. ラデツキー行進曲 作品228(原典版)
11. ケッテンブリュッケ・ワルツ第1番 作品4
12. 羊飼いのカドリーユ 作品217
13. 「パリの謝肉祭」ギャロップ 作品100
14. パガニーニ風ワルツ 作品11
CD2:
ランナー
1. サヴェリオ・メルカダンテによるパ・ド・ヌフ
2. 憧れのマズルカ 作品89
3. ハンス・イェーゲル・ポルカ 作品194
4. マラブー・ギャロップ 作品148a
5. ワルツ「魔女のダンス」作品203
6. バレエ「コルソ・ドナーティ」から 行進曲
7. チェリート・ポルカ 作品189
8. 狩りのギャロップ 作品82
9. ワルツ「シェーンブルンの人々」作品200
録音場所:ウィーン(楽友協会)
録音日時:2011年6月1〜6日
プロデューサー:マルティン・サウアー
エンジニア:ルネ・メラー
某メジャー・オーケストラの来日公演で、ニコラウス・アーノンクールのひと晩のギャラ(指揮料)が1千ウン百万、などというウワサを聞くと、とたんに暗い気持ちになる(笑)私だが、この男がほかにおよそ類をみない、特異な能力の持ち主であることは渋々ながら認めざるをえない。
今回のニュー・ディスクも、モーツァルトのコントルダンスやドイツ舞曲、ヨハン・シュトラウス1世とその宿命のライヴァルだったヨーゼフ・ランナーのワルツ、ポルカ、ギャロップや行進曲……と並べば、さして珍しくもないウィーンの舞曲アルバムと誰もが思うだろう。ところがどっこい、これが希代の曲者アーノンクールの手にかかると、聴いているこちらの方がそれこそあの御本人さながらのギョロ目になってしまいそうな、とんでもない代物と化してしまうから恐ろしい。
ひとことで言えばアーノンクールはここで、ワルツやポルカ等々を、あのウィーン・フィルの新年コンサートで聞くようなお上品なエンターテインメントとして演奏するのではなく、それらが根源的に備えている強い生命力、垢抜けしない肌触りを、生々しく暴き出すのだ。それも大昔からの手兵であるピリオド楽器オーケストラ、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスの独特の能力と機動力を目一杯駆使して ―― トランペットは10種類、クラリネットも5種類使用、と表記されている ―― まさに千変万化、2枚のディスクを飽きることなく聞かせてしまう。こんなことができるのはたしかにアーノンクールだけだ。恐れ入りました。(大木正純)
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