#  950

『ホーム/ギフト・オブ・ミュージック』
text by 多田雅範


Sunnyside/
キングインターナショナル
KKE 016 2,300円(税込)

Claudia Acuna - vocals (track 5)
John Ellis - vocals (track 4)
Alan Hampton - vocals & guitar (track 2)
Gretchen Parlato - vocals & percussion (tracks 2, 6, 8, 9)
Becca Stevens - vocals & guitars (tracks 3, 4, 6, 9)
Leron Thomas - vocals (track 8)
Sachal Vasandani - vocals (track 9)
Doug Wamble - vocals & guitar (track 7)
Dayna Stephens - tenor saxophone (track 2)
Taylor Eigsti - piano (tracks 2, 8, 9)
Adam Rogers - guitars (tracks 5, 8, 9)
Ryan Scott - guitars (track 4)
Danton Boller - bass (track 4)
Chris Tordini - bass & vocals (track 6)
Ben Williams - bass (tracks 5, 8, 9)
Johnathan Blake - drums (tracks 5, 8, 9)
Bill Campbell - drums (track 4)

1. GAMBARE NIPPON (0:24)
2. IF IT WAS (2:50) By Alan Hampton
3. COMING HOME (2:16) By Becca Stevens
4. HOME (3:15) By John Ellis
5. MUSIC IS THE MAGIC (4:02) By Abbey Lincoln
6. TILLERY (5:34) By Becca Stevens
7. FEAR NOT THE FALL (6:23) By Doug Wamble
8. LEAVES REBIRTH (4:44) By Leron Thomas
9. DOVES (7:38) By Sachal Vasandani

2011年4月28日&10月13日System Twoスタジオ(NYC)

16頁ブックレット
全歌詞日本語訳/解説掲載

まぶしいばかりのアコースティック・ギターとピアノのつまびき、エリオット・スミス好きなおれにはストライクなアラン・ハンプトンの声!すかさずポスト・マーク・ターナー的でデズモンドの甘さの毒で入ってくるサックスでノックアウト。このサックス奏者、ダイナ・ステファン、要チェックだ。

あれー、このカンジ...。曽我部恵一ランデブーバンドの『おはよう』(2007)の1曲目「女たち」の加藤雄一郎アルトサックスにとろけたのを思い出すではないか!
http://www.sokabekeiichi.com/shop/sample/r57ohayo/01.mp3

おお、なんてステキでストライクな連想だ。

いやー、歌もののバックで鳴るサックスにはつい耳が大きくなってしまうおいらだけど、いや、サックスもこれだけ雄弁なら...。

これがアメリカから届いた東日本大震災のチャリティCDとは。1年以上経って届くあたりに、手作り感の予感かな。

6月にニューヨークはダウンタウンジャズシーンの定点観測に出かけたジャズ評論家益子博之がライブであまりに良かったとベッカ・スティーヴンスのCD『Weightless/Becca Stevens Band』をお土産にくれていたのだった。これって、ワイアード編集長若林恵が昨年の年間ベスト(ぼくたちのサイトmusicircusの企画http://homepage3.nifty.com/musicircus/main/2011_10/tx_2.htm)で掲げた盤だし。

そのベッカがアカペラ多重録音で仕上げているオリジナルもある。

るおお?ルーファス・ワインライトも参加しているの?ヴォーカルは...サックス奏者のジョン・エリスだという、ヴォーカリストとしての初レコーディング!、...ヴォーカリストの道を進んだほうがいいのではないかい?...いちおう小声で書いておこう。

グレッチェン・パーラート、サシャル・ヴァサンダニといった花形ヴォーカリストのほかに、アダム・ロジャース、クリス・トルディーニ、ベン・ウイリアムスといった光るジャズプレイヤーたちが集った。

このチャリティを企画したNY「ジャズ・ギャラリー」プログラミングディレクターであるサカイリ・リオさんのパートナーが、注目の作曲するドラマー、ジョナサン・ブレイクであり、じつに細部まで行き届いたサウンドで支えている、タイコの質、まさに重要。ジョナサン・ブレイクの今年の『The Eleventh Hour』(sunnyside)、マーク・ターナーやロバート・グラスパーといった大物も配して、全曲作曲して現代的なジャズを仕上げている才人である。

当初は被災された方々へCDをプレゼントする企画だったという。レコーディングでは化学反応が起こるようにアイディアが音楽になった、これだけのミュージシャンがそれぞれ1・2テイクで仕上げていったという、これは魔法のようなセッション作品と言えるだろう。

PVがYou Tube「DOVES from “Home”」 http://www.youtube.com/watch?v=45UKe2TYWKkで視聴でき、この曲と、冒頭の「がんばれ日本」メッセージはチャリティらしい仕様を聴かせているが、中身の7曲は格別にクオリティが高い。

フェイスブックですぐにミュージシャンとつながれたり、マイクロ・ファンドですぐにCD制作の応援ができるようになったり、音楽はとても近くなった。そんな空気感が詰まっているような奇跡の作品だ。そうそう、アビー・リンカーンの「The Music is the Magic」がいい色彩でカバーされている。
(多田雅範/Niseko-Rossy Pi-Pikoe)

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FIVE by FIVE 注目の新譜


NEW1.31 '16

追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley

FIVE by FIVE
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣


COLUMN
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi

#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報 シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻


音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美

カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子

及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)

オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美

ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)

INTERVIEW
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義

CONCERT/LIVE REPORT
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
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