# 952(アーカイヴ編)
『Boston Jazz Living〜岩浪洋三プレゼンツ・ストーリーヴィル』
text by 稲岡邦弥
Storyville/Muzak | ![]() |
1. ダフード(ジャッキー&ロイ)
2. ゾウ・スウェル(ジャッキー&ロイ)
3. スフプリング・キャン・リアリー・ハング・ユー・アップ・ザ・モスト(ジャッキー&ロイ)
4. マウンテン・グリーナリー(リー・ワイリー)
5. ユー・トゥック・アドバンテージ・オブ・ミー(リー・ワイリー)
6. アワー・ラヴ・イズ・ヒア・トゥ・ステイ(テディ・キング)
7. ビリーズ・ブルース(ビリー・ホリデイ)
8. アイ・ドント・ノウ・ホワット・カインド・オブ・ブルース・アイヴ・ガット(ミリー・ヴァーノン)
9. ビトウィーン・ミー・アンド・マイセルフ(秋吉敏子)
10. ノスタルジア(秋吉敏子)
11. アイント・イット・ザ・トゥルース(ジョー・ニューマン)
12. タイム・オン・マイ・ハンズ(リー・コニッツ)
13. ラヴ・イズ・ジャスト・アラウンド・ザ・コーナー(サージ・チャロフ&ブーツ・ムッスリ)
14. ポルカ・ドット・アンド・ムーン・ビームス(ボブ・ブルックマイヤー)
15. チカ・ブーム・ブルース(メアリー・ルー・ウィリアムス)
16. イージー・リヴィング(リー・コニッツ)
17. ファイン・アンド・メロウ(ルビー・ブラフ)
18. ラヴ・ミー・オア・リーヴ・ミー(ヴィック・ディッケンソン)
19. ハウ・ロング・ハズ・ディス・ビーン・ゴーイング・オン(ズート・シムズ&ボブ・ブルックマイヤー)
20. スウィンギング・ザ・ブルース(ヴィック・ディッケンソン)
21. メアリーズ・ワルツ(メアリー・ルー・ウィリアムス)
ストーリーヴィル・レーベルは、50年代にジョージ・ウィーン(ピアニストとしてデビューしたが後年ニューポート・ジャズ・フェスティバルなど、ジャズ・フェスの大ボスとして活躍した)がボストンで運営していたレーベル。トリオレコードに入社してまもなく、ECM、デルマークとともにレーベル契約したロンドンのブラック・ライオンのオーナーがウィーンから買い取った。いわゆる大橋巨泉がいうところの“中間派”が含まれ、小粒ながら趣味の良い作品を揃えていた。
一番の思い出は、未発表のビリー・ホリデイの発掘。悠々自適のオーナー、アラン・ベイツをけしかけ、倉庫をさらってもらった結果の収穫。ウィーンがボストンのコプリー・スクエア・ホテル内で経営していたジャズ・クラブ「ストーリーヴィル」からライヴ中継された放送録音(余談ながら筆者もボストン訪問の折りこのホテルに投宿、往時を偲んだものである)。リー・コニッツやジョー・ニューマン、テディ・キングの10インチ盤などは珍盤中の珍盤で、再発にあたってはコレクターから大いに恨まれた記憶がある。本作には含まれていないが、アコーディオンのレオン・サッシュも稀少盤として騒がれたが内容はジャズとは言い難く、ビジネスにはつながらなかった。ミリー・ヴァーノン盤は、後年、脚本家の向田邦子がエッセイの中で愛聴盤としてとりあげ、さらに向田ファンの太田 光(爆笑問題)の口の端に上りミニ・ブームを巻き起こしたのが記憶に新しい。
本作は、ストーリーヴィルのカタログから3人の編者、岩浪洋三、寺島靖国、橋本 徹3氏が独自の視点からコンピレーションを編んだものの1枚。女性とヴォーカル(と映画?)を愛した岩浪さんらしく1曲目から8曲、女性ヴォーカルが続く(#1〜3曲はカップルのヴォーカル・デュオ)。9曲目からはインストになるが、#9、10は秋吉敏子である。ピアニストのメアリー・ルー・ウィリアムスが2曲収録されているが、メアリーについてはストーリーヴィルの原盤には記憶がない。後年発掘されたものであろうか。11曲目以降が、白人を中心とした“中間派”的演奏が並び、スウィングからバップに至る過程のくつろいだ演奏が楽しめる。
振り返ってみると、この企画の選者として岩浪さんは他の誰よりも相応しく、引き受けた岩浪さんも選曲に際して己の趣味を押し通したに違いないことが読み取れるのだ。追悼の意味を込めて2008年のリリースだがアーカイヴとして取り上げさせていただいた。(稲岡邦弥)
追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley
:
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣
:
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi
#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報
シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻
音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美
カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子
及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)
オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美
ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)
:
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義
:
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄
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