# 959
『クニ三上/0才からのジャズVol.2~Swingin' X'mas~』
text by 稲岡邦弥
9245 Records/KY-1002 2,000円(税込) | ![]() |
クニ三上(p,el-p)
クリスチャン・フェビアン(b,el-b)
デイヴィッド・ギブソン(ds)
ラリータ・ガスキンス(vo)
1. きよしこの夜
2. 赤鼻のトナカイ
3. ジングルベル
4. サンタクロースがやってくる
5. くるみ割り人形より
6. クリスマスソングメドレー
7. もろびとこぞりて
8. ホワイトクリスマス
Recorded by Michael Broby@Acoustic Recording NY, 2012.8.01
Mixed by Akihiko Nishimura@Avatar Studio, NY
Mastered by 阿部健司@Harion Studio 東京
Produced byクニ三上 & 横田明子
70年代初期からNYを中心にアメリカで活躍しているピアニスト、クニ三上(1954年、東京生まれ)が、2010年より日本で展開している「0才からのジャズ」のCDヴァージョン第2作。第1作は『レッツ・スイング』で第2作は季節柄『クリスマス特集』となった。
かつて日本に居住していたポール・ジャクソン(ハービー・ハンコックのミリオンセラー『ヘッド・ハンターズ』のベース・ギター奏者)が小学校を巡回しながら“ジャズ・フォー・キッズ”というプログラムを展開、TV取材に同行して僕も見学に訪れたことがあった。彼はジャズ・コンボを引率して、ジャズの成り立ちやリズムなどを演奏しながら教えたり、演奏に参加させて、身を持って体験させることを主眼としていた。
三上の場合は、“0才からのジャズ”をキャッチフレーズに“0才以上すべての人たちのコンサート”を実現してきた。通常のジャズ・コンサートの場合、キッズはお断りの場合が多いが、“0才からのジャズ”コンサートでは、キッズはもちろん、赤ちゃん連れのお母さんもどうぞ、ジャズ初見参の方もどうぞ、すなわち万人に解放されたジャズ・コンサートなのだ。
CDヴァージョンの場合は、素材はお馴染みだが、演奏は大人の鑑賞にも耐え得るレヴェルのものを実現している。例えば、お馴染みの<ジングルベル>ではスインギーなトリオの演奏にのって歌うラリータのヴォーカルがフェイクしたり奔放にスキャットしたり。<組曲くるみ割り人形>のようなインスト曲の場合は、ブルースやサンバで変化を付け子供にも飽きさせない工夫がされている。
<赤鼻のトナカイ>はエレキベースに代えレゲエのリズムで、フェンダーのエレピで虚を突かれる<メドレー>ではリズム&ブルース、<もろびとこぞりて>はカリプソという具合に。ベースにメロディを取らせる<サンタが街にやってくる>はメロディの類似性からモンクの<ブルー・モンク>が登場という離れ業。エレピがリードするソウルフルな<きよしこの夜>にキッズも思わず身体を揺らすという趣向。
“子供に飽きさせず大人の鑑賞にも耐え得る”、という命題は実現に骨の折れるものだが、NYを中心に何十年もエンタメの本場で鍛え抜かれた三上ならではのアイディアでそれと悟られずに仕上げる技は流石である。収録時間が37分というのは、かつてのLPのAB面に相当する長さで、その辺の配慮も心憎いほど。(稲岡邦弥)
追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley
:
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣
:
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi
#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報
シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻
音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美
カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子
及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)
オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美
ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)
:
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義
:
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄
Copyright (C) 2004-2015 JAZZTOKYO.
ALL RIGHTS RESERVED.