# 998
『ホット・コルネッツ/オール・オブ・ミー』
What's New WNCJ-2245 ¥ 2,800(税込) |
木幡光邦 (cor)
宮崎"カポネ"信義 (g)
竹中俊二 (g)
中村健吾 (b)
1. In a Mellow Tone
2. Willow Weep for Me
3. Rhythm-a-ning
4. All of Me
5. Fly Me to the Moon
6. コブタノサンバ*
7. Over the Rainbow
8. Upswing*
9. It's All Right with Me
10. Embraceable You
*Composed by Mitsukuni Kohata
録音:佐藤 弘@Groovy Studio、2012年8月6日
プロデューサー:Hot Cornets & Keiichi Sato
古い革袋に盛られた美味しいお酒の数々
珍しいコルネットをリーダーに仰ぐカルテットのアルバム。カルテットといっても残りのトリオは趣の異なるふたりのギターにベースというストリングス系で揃え、ドラムレスの編成だから演奏される音楽の雰囲気はなんとなく伝わってこよう。オープナーの<イン・ア・メロウ・トーン>。エリントンが1940年に書いたスインギーなナンバーだが、原曲はさらに古い。予想通りの"グッド・オールド・デイズ"の雰囲気横溢だ。木幡の抑えたコルネットと音色が何ともインティメイト、時代さえ感じさせる。絡むギターと刻みのギターとベース。ソロでは張るが、トランペットのような刺激的な音ではない。トーンはあくまでセピア。と、納得したものの、2曲目の<ウィロー・ウィープ・フォー・ミー>は中村の強靭なベースのイントロからテーマで、いささか肩透かしを喰う。
3曲目モンクの<リズマニング>は軽快なリズムに乗ってコルネットとギターがユニゾンでテーマを奏し、ソロの後スリリングなバースを経てエンディング..。<オール・オブ・ミー>での中村のアルコ、<フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン>での木幡のミュート、随所で聴かれる気の利いたギターのカウンターやフィル。まったく表情の違う木幡の2曲のオリジナルも秀逸で、<アップスイング>などライヴでは大受けするに違いない(この曲は竹中のギターを炸裂させるために書かれたのか?)...。などなど、聴きどころを書き連ねていってもリスナーの興味を殺ぐばかりだ。楽しみたい方は新鮮な気持で針を下ろしてもらいたい、と書きたいところだがCDプレイヤーのボタンを押してもらいたい(本音を言えばLPで楽しみたいという気持ちが強い)。
木幡が範としたのはルビー・ブラフtp/corとジョージ・バーンズgのカルテットということだが、このカルテットが活躍したのは70年代とのことで、中間派の味のあるトランペット/コルネット奏者として知られたブラフ(1927~2003)も中年を過ぎてからのようだ。小曽根 真の「ノー・ネーム・ホーシズ」などでコンテンポラリーな楽曲を吹いている木幡が(小曽根が"楽しくてかっこいいこのアルバムでお酒がまた美味しくなる"とコメントを寄せている)、一歩退いて心に馴染んだ名曲の数々を気心の知れた仲間と心ゆくまで楽しんだ演奏集である。といっても腕の立つ面々のことである。ただ楽しんだだけではない。あちこちにスパイスを効かせてある。まさに"古い革袋に新しい酒"が盛られているのだ。ちなみに、木幡が使用したコルネットは1940年代のヴィンテージ・マーチンを2本。同じ楽器でも曲により微妙に表情が変えられているので判定は至難だろうが、ラッパ・ファンにはプラス・アルファの楽しみだろう。(稲岡邦弥)
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